発症から10日、症状緩和から72時間、両方を満たすことが退院のルール


時間は刻一刻と進みます。電話を待つ以外に方法はない手持ちぶさたな時間が少しあり、間に合わないかなぁと不安になり始めたところへ保健所から電話がかかってきました。発熱相談窓口から話はしっかり伝わっており「そういうご相談で間違いないですよね?」と確認されました。

 

「はい、その通りです。お忙しいところ畏れ入りますが自宅に帰るための車をご用意いただきたいのです」と重ねてお願いすると「餡蜜さん、お気持ちは大変理解できるのですが発症から10日、症状緩和から72時間両方を満たすことが退院のルールのため今日退院いただくことはどうしても出来ないんです」と非常に申し訳なさそうに言われてしまいました。

え……「先生はいいとおっしゃっているのにどうしてもダメなんですか?」と失意の色全開で食い下がりましたが「感染性の病気で今外に出てしまうと他の方に移してしまう可能性があるのでどうしてもダメなんです」とのことでした。

こうして多くの方々に尽力いただいたものの、私の退院計画はおじゃんになりました。でも保健所の方が続け様に「お子さんたちのことはとても心配だと思いますが、具体的にどういう点がご心配ですか?」と聞いてくださいました。急に聞かれると上手く答えられないのですが、私は思いつく限り、

・大部屋なのか個室なのか
・濃厚接触者のため部屋に閉じ込められっぱなしになるのか
・まだひとりでしっかり入浴出来ないのだが手伝ってくださるのか
・眠るときは少し付き添っていただけたりするのか

といったことを尋ねてみました。1歳の時から保育園に通い、ここ最近は本当に色々なことが自分たちで出来るようになってきてはいましたが、それでもやっぱりまだ4歳の子どもです。

通常の小児科病棟であればドアが空いていて看護師さんの目が常に届くようになっていたり、大部屋で他のお子さんやその付き添いの大人がいれば双子に何かあったときに気付いてくださると思いますが、今回は事情が違います。ふたりだけで隔離状態にされてしまうことが何より一番心配でした。

すると「自分にはわかりかねるのでお子さんの入院を管轄する児童相談センターに問い合わせ、そちらの方から餡蜜さんにお電話いただくようにしますよ」とおっしゃってくださいました。もう本当に皆さんお忙しいのに気持ちを汲んで下さりありがとうございます(涙)。

夫たちの出発が近づいていました。双子に最後のテレビ電話をかけ「2日後に絶対に迎えに行くからね。2日だけ頑張って。何か困ったことがあったら看護師さんに相談してね」と極力明るく伝えました。私が泣いたりするとふたりが不安になってしまう。ふたりは「うんうんわかったよ」とあっさりした様子でまるで遠足に行くような気分でおもちゃをリュックサックに詰めていました。