堂々と歩いてはいけないような後ろめたさ


そして日も傾きはじめた頃、次男を抱っこし、双子の手を引いて指定された病院まで出掛けました。久しぶりに外に出るとムワッと湿った熱波に襲われ、少し歩いただけで体力を奪われます。マスクを外したがる子ども達に「少しだから我慢してね」と言い聞かせます。側から見たら普通の親子だけれど、自分たちはみんなとは違う。堂々と歩いてはいけないような後ろめたさを感じました。

 

病院に着くと外にカーテンで仕切られた隔離スペースがあり、そこへ初老の先生がいらして診察を受けました。保健所からの申し送りでは私の診察と次男のPCR検査のオーダーが入っていましたが、何度も出掛けることも出来ないし、明日は日曜だし、上のふたりの検査もしてほしいとお願いして対応いただきました。

次男はかなり苦しそうにしていたけれど聴診器をあてた結果「胸の音は綺麗ですよ」と言っていただけたのでとても安心しました。風邪薬を出してもらいその日は帰宅しました。「検査結果は明日、電話でお伝えします」とのことでした。ちなみに私は「恐らく病後の疲れでしょう」ということで漢方薬を処方してもらいました。長男が「ママ、大丈夫? 僕が荷物持つよ?」と何度も声をかけてくれました。

3人が寝てからも20分と空けず呼吸を確認したり、熱を測ったりを繰り返していました。次男はやはり苦しそうで結局朝まで5分置きに泣いて起きてのたうちまわりました。ゼエゼエしている感じではなく鼻が詰まっているように見えました。コロナが流行っていなければ、私がコロナに患っていなければ、こんなにも心配にならなかったでしょうが、未知のウイルスがこの子にどんなことを起こすのかただただ不安と申し訳なさでいっぱいでした。

翌日のお昼時、昨日の先生から全員陽性との電話が入りました。覚悟はしていたけれど、心臓を素手で鷲掴みにされたようなショックに襲われました。隣の部屋で3人仲良く遊んでいるのが見えて、もしこの光景が見られなくなるようなことになったらどうしたらいいのだろう、と震えが来ます。

夫と母には逐一状況を報告していて、母に伝えると「大丈夫なのかね……もうどうしたらいいんだろうね……」と電話越しで泣き出しました。私も同じ気持ちだけれど、でも私が泣くわけにはいかないので「保健所から電話が来るから」と伝えて手短に切りました。

しばらくすると保健所の方からお電話があり、全員症状があるので入院という方向で話が進み始めました。そして私が発症した時と比べて罹患者が増加し病床が限られてきているため、全員バラバラになる可能性があると。

いや、ちょっと待って。双子については確かに頭痛を訴える、鼻水が出ていたと問診で伝えてはいたのですが、私も気が動転していて、少しでも異変があることは伝えたほうがいいという判断でお話したものの、これは正直コロナ由来とは思い難い症状なのでふたりについては自宅療養にしてほしいと訴えました。勝手ばかりを言っているようですが、前回はふたり一緒だったし、2日だったのでなんとか頑張ってくれましたが、陽性者としての入院となると1週間以上は外に出られなくなってしまうので親元を離れての入院は現実的ではないとお願いを重ねました。

そして次男については心配なので入院させてほしいけれど、その場合母乳で育てているので私も帯同したいということ、しかし夫が最速で火曜日まで退院出来ないという状況をお伝えしました。

双子の対応については一旦内部で相談いただくことになりました。そして次男については一旦ひとりで入院させ、夫が戻り次第私も付き添い入院させてもらえる病院を探してもらうことになりました。しかしそもそも乳児を受け入れてくれる病院が少ないので複雑な条件がつくと入院先がなかなか決まらない可能性がありそうでした。

どうしたものか。やっと子ども達を手元に置いて暮らせるようになったというのに。またこんなことになってしまった。夫も帰って来ない。まだまだ我が家とこのウイルスとの戦いは出口が見えない。そして出口を抜けたときどうなっているのかも想像出来ない状況でした。