私たちの生活に欠かせなくなったツールのひとつ「スマホ」。その便利さの恩恵を受ける一方で、スマホ片手についダラダラと過ごしたり、SNSの炎上やネガティブな情報を見て憂鬱な気持ちになってしまうことも。スマホもSNSも暮らしの中にあまりに浸透しているため、適度な距離感を保つことは意外と難しいことでもあります。そんな現代の「スマホ依存」「つながり疲れ」にヒントを与えてくれるのが、作家・コメンテーターの安藤美冬さんの著書『つながらない練習』です。

安藤さんは、新卒で入社した出版社を退社ののち、SNSでの発信力を駆使することで、組織や肩書きに頼らない「新しい働き方」を世の中に提示した、ノマドワーカーのパイオニア。そんな安藤さんは本書の中で、「私たちは今、つながりすぎた」と語ります。心をすり減らすSNSや大量の情報、そして人間関係――。本当に大切なものとつながるために、スマホやネットの情報と「つながらない練習」を行った安藤さん。今回はその方法について、本書より一部抜粋してご紹介します。

 

2010年代はじめから、TwitterやFacebookを駆使して発信を行い、多数のフォロワーを獲得していた安藤美冬さん。「SNSの伝道師」と呼ばれ、元祖ノマドワーカーとしても各メディアにひっぱりだこだったにもかかわらず、なぜスマホと距離を置くという決断に至ったのでしょうか。

2017年からネットと距離を置き、徐々にスマホに触れる時間を極力減らしていった背景には、3つの理由があったといいます。

 


①自由な時間が減った


1日平均5、6時間、パソコンやスマホからネットにつながっていた。ネットに触れていない時間も自分の投稿に“対する”反響や反応が気になり、仕事とプライベート両面で“今”に集中しにくくなってしまう。
発信することも仕事だという意識もあって、危機感を持たないまま、SNSは生活そのものになった。
 

②のびのびと発信ができなくなった


フォロワー数が増え、認知度が高まるにつれて、以前のような気ままな発信ができなくなった。
発信には気を遣っているつもりでも、下手をすれば誰かに指さされ、最悪の場合炎上する。
大好きだったはずのSNSが、だんだん億劫になり、一体、何のためのSNSなのだろうと感じるようになった。
 

③“つくられた世界”への違和感 


これには自分の発言だけでなく、誰かの発言も含まれる。 当たり障りのない言葉や、小さな噓、自分を取り繕うような態度……。
そうした“大人としての振る舞い”に対しても、うんざりした。
ネット上で“本当の関係”を築くのは難しいと感じたし、ここに莫大なエネルギーを注ぐ意味が見出せなくなってしまった。

自分にも心当たりがある……という方は少なくないのではないでしょうか。とはいえ、もはや日常の「相棒」とも言えるスマホと距離を置くことは、決して簡単なことではありません。安藤さん自身も、SNSやネットの世界から離れる際、もっとも怖れていたのは、チャンスやつながりを失うことだったといいます。
 

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参考:情報を「断捨離」する際の目安と、ちょっとした時間でできること
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