スタイリングディレクター大草直子著『飽きる勇気〜好きな2割にフォーカスする生き方』より、「変化を恐れず自分軸で生きるアイデア」を一日ひとつずつご紹介します。

 

子供は社会からのお預かりもの――そんなふうに思っているので、親の期待や理想を押しつけようとは思いません。だから、いい学校を出ることだけを望んだりもしていません。
ただ、我が子に関していえば、服のセンスがずば抜けていいとか、手先が器用とか、スポーツに長けているみたいな、明らかに突出した個性があるタイプではありません。それなら、可能性が広がるという意味で、大学へ進学するのがいいのかな、とは感じていますが。

 

都内の大学に通う長女は、2000年生まれのジェネレーションZ。哲学と読書が好きな、コツコツ型。好きなことを勉強でき、好きな本について、友達と語りあえる大学が本当に楽しい様子。5限、6限まで講義を受けて帰ってくる毎日ですし、春先、休校が決まったときは「早く学校に行きたい」と。
特に今回のコロナ禍、社会を憂いている気持ちはもちろんあるけれど、そのなかでどうやって生き抜いていこうかと、親が驚くほどに考えていることを知りました。

15歳の長男は、中学3年生。
小学校5年生のとき、「中学に入ったらアメリカに行きたい」と、何気ない会話のなかで言ったことがありました。実際に中学生になる前、もう一度、尋ねてみると、やっぱり行きたいと。彼はアメリカと日本、両方の国籍を持っている(夫がベネズエラとアメリカ、両方の国籍を取得しています)ため、夫の兄弟の家に下宿したり、夫と一時的にアメリカで暮らして現地の学校に通うなど、さまざまな選択肢がありましたが、1年間、親や親戚のいない寮生活を経験しました。勉強や英語というよりも、親元を離れて暮らすこと、知らない土地で経験したこと、触れたことのすべてが、彼の人生にとっての「潮目」になったのだと感じます。
とはいえ、日本での勉強の遅れを取り戻すのはやっぱり大変。社会や英語が得意なので、進学はやっぱり私大の文系かなと、親としては感じていますが、最終的には本人の意志に任せます。

次女は、まだ10歳。私と同じ誕生日(!)だからか、ぶつかることも本当に多いですが、まだまだ可愛い甘えん坊さんです。小さい頃から動物が好きで、いつも「飼いたい、飼いたい」と。私は、動物が苦手なのですが、縁あって先日保護施設から子猫を家族に迎えました。いまでは小さな子猫のお姉ちゃんになっています。

20歳、15歳、10歳の3人の子供たち。年齢もバラバラですが、当然、興味や好きなことだってバラバラです。
私も平日は仕事が忙しく、なかなか子供たちとじっくり話すことができない毎日。週末に家族でお出かけしても、結局、下の子が話の中心になることも……。結果、お姉ちゃんやお兄ちゃんは、スマホや、ゲームと向かい合わせ。こちらも「つまらなそうだな」と、余計な心配や気遣いをしがちです。
そんなこともあり、平日や週末など、時間を見つけては、ひとりひとりと食事やショッピングへと、出かける時間を作っています。彼らにとっては、ママを独り占めできる特別な時間。私にとっても、ひとりとじっくり向き合うことができる、楽しい時間になるのです。

3人の子供を見ても明らかなように、個性は十人十色。  親の役目は、ひとりひとりの個性と可能性を見つけてあげ、生きやすい場所を見つけ「自分らしさ」を開花させられるよう、サポートすることかなと考えています。


出典:大草直子著『飽きる勇気〜好きな2割にフォーカスする生き方』(講談社刊)
取材・文/畑中美香


覚えておきたい!
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