雨が降ると頭痛が起こる、昔怪我をした古傷が痛む……。そんな天気の影響を受ける「気象病」は「自律神経」が関わっていることが、天気痛ドクターの佐藤純先生への取材でわかりました。佐藤先生は取材の中で、アフターコロナの時代と気候変動についても言及。私たちが置かれているコロナ禍のストレスフルな生活環境、そして変化する地球環境は、気象病にどんな影響を及ぼす可能性があるのでしょうか。


佐藤先生が気象病の専門家として、コロナ禍で心配なことはありますか?

自律神経の脆弱化により、気象病になる人が増えるのではないかと考えています。

 

このコロナ禍では、誰もが過剰なストレスを抱えて生活していると思います。屋外で運動することもままならず、自律神経はますます脆弱化する危険に晒されていると言えます。そんな中でも、気候変動は進む一方ですから、気象病の方にとってはつらい状況が続きそうです。

また、恐怖を煽る気はまったくありませんが、アフターコロナと言われる頃、早ければ来年ぐらいからは、自律神経の乱れによる不調が出てくる方がさらに増えるのではと心配しています。

在宅ワークになったことで自由に使える時間が増えた方は、ぜひご自身の生活改善に目を向けてみてください。健康のために有効なことを今からするか、しないかによって、来年や再来年の健康が変わってくると思うからです。もちろん、今までにない痛みや不調を感じる場合は看過せず、なるべく早めに病院を受診するようにしましょう。

 


地球環境の変化は気象病にも影響しますか?
影響する。一年中不調が続くという人も増えるかもしれません。

 

健康と自然、病気と自然は必ずリンクしていますから、それを無視した医療は成り立つことはありません。
これからは、熱波や大雨のような異常気象はますます厳しくなるはずです。加えて、昔は遠くの海で発生していた台風が、今は「日本の南の海上」など、日本列島のすぐ近くで発生することが多くなりました。台風ができるとすぐに強力になり、いきなり日本列島に襲いかかるので、「身体と心を備えるための時間」もどんどん短くなっています。地球温暖化の影響で、日本の四季の移り変わりも曖昧になり、実際、急に暑くなったかと思えば、急に寒くなる気候に変わってきていますよね。

私たちの身体は急速な環境変化になかなかついていけませんので、気候変化の影響を受けて「一年中調子が悪い」という症状を訴える方や、気象病を新たに自覚する患者さんは、これからもっと増えていくのではと個人的には考えています。

佐藤 純 Jun Sato

天気痛ドクター・医学博士。愛知医科大学客員教授。中部大学生命健康科学研究科教授。パスカル・ユニバース(株)CEO。名古屋大学環境医学研究所、名古屋大学教授を経て、愛知医科大学病院で日本初の「気象病外来・天気痛外来」を開設。東京竹橋クリニックでも気象病・天気痛外来医として診療を手掛ける。NHK「ためしてガッテン」「あさイチ」、日本テレビ「世界一受けたい授業」などテレビでも活躍。株式会社ウェザーニューズと共同開発した「天気痛予報」を2020年にリリースした。『「雨ダルさん」の本』(文響社)、『ビジネスパーソンのための低気圧不調に打ち勝つ12の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書多数。


取材・文/金澤英恵
イラスト/徳丸ゆう
構成/山崎 恵

第1回「台風シーズンは要注意!天気で体調が悪化する「気象病」はこうして起こる」>>

第2回「30〜40代は要注意?! 気象病になりやすい人の特徴は「働き盛り」」>>

第3回「「気象病」は何科を受診すればいい? 専門医が教える病院選びと治療法」>>

第4回「急な片頭痛も1分で改善!気象病の専門医が教えるマッサージ&専用の「耳栓」とは」>>