写真提供:NHK

『おかえりモネ』はそれでも優しくありたいと努力する人たちの物語

『おかえりモネ』にも、そういう人たちが多く登場します。菅波先生の過去の告白を聞いたモネは「すみません。こちらこそ辛い話をさせてしまって」と謝り、モネの心情を推察した菅波先生は「勝手に分析してもいいですか」と先に了承を得ます。

妹の未知(蒔田彩珠)は姉に対してコンプレックスを抱いていますが、母の亜哉子(鈴木京香)はそんな空気を敏感に感じ取り、モネに「好きなことしなさいね」と話しているところを立ち聞きしていた未知に、「未知も」と声をかける視野の広さを持っていますし、モネ愛が強いように見える父の耕治(内野聖陽)も、朝岡に娘について話すときに「や、もうひとりいるんですけどね、頑張り屋さんがね」と付け加えることを忘れません。決して未知をないがしろになんてしていない。りょーちんがあれだけ苦しいのも、人を思いやりすぎるからです。

 


誰も傷つけないように。誰も取りこぼさないように。そう生きることは、とても難しい。優しさは、とても困難で、痛みすら伴います。『おかえりモネ』が描いているのは決して「優しい世界」ではなく、その難しさを承知した上で、それでも優しくありたいと努力する人たちの物語で、それは今を生きる私たちによく似ているから、こんなにも胸を打つのではないでしょうか。心のいちばん繊細な部分が涙をこらえるように震えるのではないでしょうか。

最終回まで残り2ヶ月。まもなく舞台は故郷の気仙沼へと移り、いよいよこの再生のドラマが目指す到着地点が見えてきます。

人は、誰の気持ちもわかることはできない。誰とも痛みを分かつことはできない。それでもわかりたいと願う。分かちたいと手をつなぐ。その手の温かさにふれたとき、誰ともわかり合えないこの世界で、それでも共に生きる喜びを知るのだと思います。

<作品紹介>
連続テレビ小説「おかえりモネ」

写真提供:NHK

<地上デジタル>
毎週月曜~土曜、NHK総合にて午前8時~8時15分、再放送は12時45分〜13時
※土曜は一週間の振り返りを放送。再放送は毎週日曜、午前11時~11時15分
<BSプレミアム・BS4K>
毎週月曜~土曜、午前7時30分~7時45分、再放送は23時~23時15分毎週土曜、9時45分~11時、月〜金の5話分を一挙放送
※放送予定は変更される場合があります。最新情報は番組表をご確認ください。


構成/山崎 恵

 

前回記事「「壁ドン」に萌えない私たちが「おかえりモネ」の菅波先生にハマるワケ」>>