プランA:中学受験にかけるリソースをほかの目標に向ける


中学受験に親が注ぐパワーとお金って、相当なもの。年間150万円ほどの中学受験塾代や、その後の中高6年間でおよそ500万円の授業料のためにフルタイムで共働きを選択するご家庭があるのは当然のことでしょう。逆に子供の勉強をサポートするため、母親が仕事を辞めたりセーブしたりするパターンもあります。

これほど家族全員がフルスロットルでパワーを使う中学受験について、今一度よく考え、そのお金とパワーを「他の目的」に割り振るという選択肢もあるかもしれません。

たとえば親の関与の割合が高い中学受験を回避して、公立の高校へ進学。その分夫婦で仕事に全フリ、共働きフルパワーでガンガン稼ぐ。そこで世帯収入を上げて、新しい可能性を生み出すという発想も。

例えば軽井沢の全寮制インターナショナルスクール「ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン」や世界に名だたる英国名門・ハロウ校が安比高原にオープンした「ハロウスクール」などを検討し、グローバル人材を目指すという手も。

そこまでの予算を取れなくても、高校や大学入学後の交換留学、資格取得のためのダブルスクール、ロースクールのような大学院進学など、先々に考えられる効果的な作戦はたくさんあります。要は、漫然と中学受験に課金するのではなく、目的に合ったお金のかけどころを計算し、勝負するということです。

 


プランB:世帯収入を上げなくてはならなないという思い込みを手放し、子どもと過ごす時間や余裕を増やす


中学受験を回避することで教育費の前半のコストを抑える。その分、両親のどちらかの仕事をフレキシブルなものに変え、子どもと過ごす「時間」そのものを増やすという手もあります。

子どもと過ごす時間を大幅に増やすことができれば、それは塾に行ったり家庭教師をつけたりするためにお金を払うことと同等かそれ以上に価値があること。たとえ勉強を教える、という直接的な過ごし方でなくても、時間に追われず子どもに向かいあう時間ができるという選択肢はあっていいと思います。

 


プランC:高校受験にすっぱり切り替え、早めに準備する


また、高校受験にすっぱりと切り替えるという発想もあります。

よく言われることですが、中学受験は母集団のレベルが高く、競争がとても激しい。意識の高い家庭が集まり、お金も時間もこれでもかというほどに投じる激戦ラウンド。そこをあえて外して高校受験に腰を据えて取り組むというのも有効な戦略です。例えば人気の早慶附属も、高校受験では受験できる学校が増え、チャンスが広がります。そのため、中学受験を戦略的に回避して、小学生時代からコツコツと「平岡塾」や「JPREP」 などの英語専門塾で、中学受験勢よりもじっくり英語の勉強をするひともいます。

いかがでしたでしょうか。
漠然と中学受験に参戦するのではなく、ちょっと立ち止まって、それが子どもの特性や家庭の状況に本当に合致しているのか、しっかり考えたいですね。

次回は、「それでも我が家は中学受験。だけど、どこまで頑張れるか自信がない……」と考えた方に向けて、御三家一直線! じゃない裏ワザ中学受験について、一緒に考えてみたいと思います。

<東京の中学校&小学校受験のリアルを知りたい方はこちら>

『天現寺ウォーズ』 同録『御三家ウォーズ』著者/佐野倫子
解説/おおたとしまさ

東京の知られざる小学校・中学校受験のリアルを知ることができる、スパイシーエンタメ受験小説。
 

 

第2回「「省エネ中学受験」ってアリ?無理しすぎない裏ワザ中学受験3つの方法」>>


構成/山本理沙

 

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