州知事らとの会合中にスマホを操作するドナルド・トランプ元大統領(写真は2020年6月当時)。写真:AP/アフロ

実際、トランプ氏は政府の公式発表などお構いなしで、ツイッターで事実上の公的な情報提供を行っており、政府のWebサイトやプレスリリースが事実上機能していませんでした。こうした使い方をしている場合には、民間企業のサービスであってもツイッターは完全に公共空間であり、当然の結果として言論の自由やアクセスが保障されなければなりません。

 

一連の状況を考えれば、政治家が、ツイッターを公式発表のツール、もしくはそれに近い形での使い方をしていなければ、という前提条件付きで、誰をブロックしても自由という解釈が成り立ちます。

ただ政治家の中には、行政府の要職に就いていながら、政府の公式見解と異なる内容をツイッターで発言するケースが散見されており、こうした使い方をしている場合、ツイッターを統治ツールにしているとみなされる可能性はそれなりに高いでしょう。

もし、ツイッターで望まない人をブロックするという機能を行使したいのであれば、あくまでも政治家個人の意見や感想を述べる場にとどめるべきであり、行政や統治に関する情報をツイッターを使って告知することは控えるべきだと筆者は考えます。

ツイッターを閲覧する側も、民間企業の1つのサービスに過ぎないという割り切りが必要でしょう。実際、一部の政治家は、現実とはずいぶん異なるキャラクターをツイッター上で演じているケースがあるからです。

政治家が登場するメディアで態度を使い分けるというのはよくある話であり、これもひとつの政治的な戦略ですから、これについてとやかく文句を言っても意味がありません。
 
しかしながら有権者の側は、自分が見ているメディア(あるいはツール)上での政治家のキャラは、本当の姿であるとは限らないということを十分に理解した上で発言を聞く必要があると思います。これもある種のメディアリテラシーと考えてよいのではないでしょうか。


前回記事「侮辱罪の罰則強化へ。中傷を「言論の自由」「有名税」という主張が完全にアウトといえるワケ」はこちら>>

 
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