省エネ冷蔵庫への買い替えは“お得”な環境対策

 

そこで、ぼくは地域の中で過去にこんなことをやってみました。ぼくが運営しているNPOバンクで、古い冷蔵庫をお持ちの方から「新しい省エネ冷蔵庫に買い替えたい、でもお金がないからどうしよう?」と言われて、「じゃあその分を融資しましょう」と伝えました。この頃は省エネ冷蔵庫が10万円だったので「10万円を貸しますので、毎年2万円ずつ5年間で返済してくださいね」ということで融資しました。

 

その人のケースでは、省エネ冷蔵庫に替えたら1年間に電気料金が2万7328円安くなるということがわかりました。その中から2万円だけ返してもらう。つまり、省エネで安くなった分よりも少ない金額を返してもらって、5年間で返済は全部終了です。そして融資を受けた人は7328円×5年分、得をしました。

冷蔵庫は一般的には12.7年使われています。ということは、返済が終わった後の7.7年間は、毎年2万7328円安くなった電気料金を払うだけでいい。最初から最後まで得しかしていませんね。こういうことができたんです。

省エネ製品を入れることでとても重要なのは、その後に「電気を自給しちゃおう」と思った時です。ぼくの岡山の自宅では、10年以上前から電力会社の送電線につながず、電気は自宅の太陽光で発電した電気をバッテリーに貯めて自給しています。

家庭で電力を自給する場合、バッテリーに3日分は電気を貯めておかなければならないのですが、省エネ製品で消費電力を抑えてから導入したほうが、そのバッテリーが小さくて済みます。今や太陽光発電パネル自体の値段は非常に下がっていて、まだまだ安くなります。だからバッテリー代を少なく済ませたかったら、省エネしてから電気を自給した方が合理的なんですね。

こうした例を見ていくと、「努力」とか「忍耐」がなければ省エネできないと言われていたのは本当なのか? まったくウソじゃないかと思うわけです。

努力や忍耐といったら、みんな嫌な顔をして逃げてしまいます。でも「こうしたほうが得をしますよ」と言うと、それまで聞いていなかった人もピクッと耳を立てて振り返ります。得をしながらできる温暖化対策があるんだったら、そっちをどんどんやっていったほうがいいと思っています。

「儲かります」「得します」と人を引きつけながら二酸化炭素排出量を減らすことは、現実に可能なんです。これは本当に家電メーカーさんのおかげでもあります。
でも、原子力発電所とオール電化は勘弁してほしいですが。