「何もないよね」と言われるのが怖くて、自分から卑下しちゃう


本谷:でもねるちゃんって「本が好き」っていうところをひとつ打ち出してるじゃない……打ち出してるかどうかわかんないけど。

長濱:何もないです。こういう仕事、それこそ「タレント」って言葉がそうですけど、何かを持っている人、何かに特化している人でいなきゃいけないと思うんですが……。

本谷:そうなんだ。みんな何かに特化してるのかなあ(笑)。

長濱:それとか何かを思い続け、好きであり続け、やり続けられるとか……回りもそういう人ばっかりだなって思って。私はそうじゃないから、自分のことを厚く塗りたくって固めているんです。メッキが剥がれて「ねるちゃん何もないよね」と言われるのが怖くて、先に自虐しちゃったり。卑下することでより深く傷つかないように、無意識に自分を守ってるんだなって思うんですよね。

本谷:プロテクトしてるんだ、失望される前に。

長濱:だから私は逆に「推子」みたいな世界ーー個性も何もない世界のほうが楽なのに、生きやすいのに、って。

 

本谷:本当にいろんなことを考えている時期なんだろうね。この作品の感想で、「個性がないほうが幸せ」と言われたのは初めてです。面白いから、ねるちゃんは悩み相談の連載とかしたらいいような気がする。

長濱:私が誰かの悩みを聞くんですか?

本谷:そう。でも最終的にはねるちゃんが、その人に悩みをめちゃくちゃ相談して、毎回終わるっていう連載が読みたい(笑)。

長濱:ええええ、いいかも(笑)。でも自分以外の人と話すのってすごい面白いです……って、私の話ばかりなんですけど。