「動いてみて初めて知った知識であるが、どこの街に住んでいようが、どこの特養でも申し込みはOK。東京在住者が沖縄に申し込もうが自由である。また、ひとりが何十か所と申し込みをしても良いシステムなので、大抵の人たちが複数、申し込みをしている。
何十万人の待機者といっても現実は複数の施設に申し込みをしているので、実倍率は大幅に下がると思うのであるが、こういう無駄なことを省いて、一元管理をしてもらえないかなぁと私は怒っているのだ(市区町村によっては申請書や受付窓口を一本化しているところもある)」

 

さらに、入居の基準となる「要介護度の壁」も立ちはだかることに。
「(特養では)2015年度からはより症状の重い人(原則要介護3以上)に限って受け入れをするよう法律が変わったので、これからは要介護2と3の差は天と地ほども出てしまうということになろう。ウチのように“要介護2”のひとり暮らしのお婆さんにとっては死活問題だ」

りんこさんが初めて特養の施設見学に行ったのは2015年以前であり、「原則要介護3以上」という法律施行前だったそうですが、入所が“狭き門”であることに変わりはありませんでした。とはいえ、申し込みをしない限り何も始まらないので、順番待ちの書類を書いて申し込むことに。そこにも思わぬ落とし穴があったと言います。

 

高齢者だけでは記入が難しい特養の申込書類


入所希望の申込書は、特養一軒一軒でフォーマットが異なり、書く内容も違う。順番待ちを希望する施設分をそれぞれ別に書いて、用意しなければならないのです。申込書に書かなければいけないことの例が以下ですが、片手間にサラサラッと書き込めるようなものではないことがわかります。

・経歴。どこで生まれ、育って、どういう人生を送ってきたか。
・現在に至るまでの既往歴。
・持病と入院歴。何年にどこの病院に入院して、どういう措置を行ったか。
・服用している薬と通っている病院名。その履歴。
・親族の名前と住所。なぜ、介護できないかの理由。
・ここに入りたいという志望理由
*これに介護認定のコピーなどを添付する

特に難しいのが、就職活動のエントリーシート並みに余白が広くとってあるという、「ここに入りたいという志望理由」への記入だそう。