三宅裕司さんが主宰する劇団スーパー・エキセントリック・シアター(SET)が、未来のエンターテイメント界を担う新たな才能を発掘しようと立ち上げた、劇団こどもSET。これまで3回の公演を成功させた劇団の舞台裏について、三宅さんにインタビュー。ミュージカル・アクション・コメディに取り組んできた三宅さんの言葉には、笑いとの向き合いか方や、子供たちの可能性を伸ばすためのヒントが隠されていました。

 


いちばん見極めるのが難しいのがコメディのセンス


――三宅さんがこどもSETを設立した動機からお聞かせください。

40年以上、劇団スーパー・エキセントリック・シアター(SET)というミュージカル・アクション・コメディーを旗印にした劇団をやってきて、年齢的にそろそろ今まで培ってきたものを若い人たちに伝えていきたいなと思ったのが動機です。それが結果的に日本のエンターテインメント界の底上げに繋がればいいな、と。今は小学校1年生から中学3年生までの子供たちが活動しています。子供たちは僕が思っているよりもすごい感性を持っていますし、ミュージカル・アクション・コメディでは得意な部分を伸ばしやすいんです。ダンスや歌、芝居がうまければもちろん活かせるし、バク転ができればアクションシーンを任せられる。非常に幅が広いので、小学校1年からでも十分対応できます。

 

ーー子供たちのオーディションでは、どのようなところに注目されていますか?

ダンスを習っている子も多いので、どれくらいのレベルなのかを見ることはできるのですが、一番見極めるのが難しいのはコメディのセンスなんです。出てきた瞬間に面白い子もいれば、しゃべり出したら個性を感じる子もいる。そこは僕自身の笑いのセンスを信じて見ていきます。緊張して失敗したときの方が、その子の個性が見える場合もありますね(笑)。

――お稽古が始まってからは、どのように進めていくのでしょうか。

12月にオーディションを行い、1月から各先生方に基礎的なレッスンをお願いします。こどもSETは前年秋の大人たちの本公演の台本をそのままやるので、僕がキャスティングにも参加して劇団員が演出に加わるんですね。毎年行われている『熱海五郎一座』が終わった7月くらいから本格的な稽古を始めて、子供たちの個性に合ったセリフに変えていきます。本公演では役者ごとに当て書きをしていますから、例えば劇団員の小倉久寛の個性に合わせたセリフを子供たちが覚えることになるんですね。そこで子供たちに合わない部分を書きかえていくわけです。