40代は自分が着たい服が似合うようになった


――お二人とも30代には戻りたくないと仰いますが、なぜでしょうか?

大草:30代はとにかく、“自分が何者でもない”辛さがありましたね。

スー:でも今思えば、“自分が何者か”を決めるのって結局他人だから、何者かになろうとあがいても意味がなかった気がします。ただ私の中では、大草さんはすでに30代のころから“何者か”だったと思いますけど。

 

大草:当時は、周りから頂いている評価と、自分の中の評価にズレがあったんです。生真面目すぎる性格ゆえに、自分で自分になかなかOKが出せなくて。でも今は、お役に立ててるっていう自信をちゃんと持てるようになったから、すごく楽になりました。

――“神様からの贈り物”という40代。一番良かったことをあげるとしたら何でしょうか?

大草:私は、自分が着たかった服が似合うようになったこと。30代は着たい服が似合わなかったし、20代の頃は迷っていたから、とっ散らかっていた。40代になって好きな服が似合うようになったことが私にはご褒美になっているし、だからこそ楽しいです。

私の目指す女性像みたいのがあって、前にスーさんが言ってくれて嬉しかった“生っぽい”という表現。“生っぽい”って、“色っぽい”とイコールのようで少し違うかもしれないんですけど……。その“生っぽさ”っていうのが、30代だと恥ずかしくて出せなかったんです。あとは男性を変に引き寄せたくもないな、っていう警戒心も当時はあって。

スー:わかります。私も以前は、自分の中の“女性性”やエロスがちょっとうまく受け止めきれないところがありました。受け止めようとすると自意識の方が過剰になってしまって。

大草:だけど今は、その生っぽさが外に向けたものじゃなくて、自分のためのものだと考えられるようになりました。例えば今日の洋服(肩を大きく出したトップス)もそうかもしれません。30代ではできなかったけど、40代の今は嫌じゃないです。誰に何を言われても平気ですしね。

 


私は“エロいおばさん”になりたい

 

スー:私も年をとって身体が朽ちてきたことによって、逆にエロスを受け止められるようになりました。だからこれからは“エロいおばさん”を目指していこうと思っています。周りの人たちはまさか、アラフィフのおばさんがエロくなろうとしてるなんて思わないですよね。周りが気を抜いてくれているので、こっちも色々やりやすいんです。細かいことですが、香水を変えたり下着を変えたりもしてみようかなと。

あとは体型なども含めて、自分らしいのはどこかとか、自分が好きでいられるのはどこかとかを探していくのもいいですよね。でも例えば「ボディポジティブ!!」とか言っていると、尿酸値とか中性脂肪がついてきてしまう(笑)。それが40代の面白さなんですが。

大草:ちなみにこの年になると、こういう話をする機会って多くないですか?

スー:はい、多いですね。

大草:女性同士で、性の話をする機会は多くなりました。男性のいる場では気の毒なのでしませんが、女性同士だと例えば「性生活を一生維持するにはどうする?」という話題なんかもします。以前は話しづらかったことを率直に話せるようになったのも、40代になって楽になったことの一つかも。それはスーさんも言っている、おばさんの気安さみたいなものですよね。

スー:そうそう。これまで私たちはそういうことを全て、あつかましいとかはしたないとかみっともないとか、全部蓋をされていたんですよね。でもそれって全部、ただの呪縛でしかなかった。女性にだって性欲はあるし、「誰に何も思われてもいいや」って、比較的楽しく話せるようになった気はします。