いつでも脱げる自分でいたいから


――「性生活を一生維持するにはどうする?」という話題が出るとのことでしたが、その答えが気になります(笑)。

大草:自分で自分のことをちゃんと認めてあげられるとか、好きであることはベースとしてかなり重要だと思います。

例えば私はヨガをやっていますが、その理由がメディテーションや呼吸法のためなどでは全くなくて、“いつでも脱げるようにしたい”から。だけどそれは自分のためであって、相手に求められたいからとか誘われたいからじゃない。いつでも脱げる自分でいたい、っていうだけの理由なんです。

 

――スーさんの場合は、40代になって一番良かったことは何でしょうか?

スー:私は、ますます自由にやれるようになったのが良かったです。もともと拘束されるのが好きじゃないんですが、前は“年齢的にもこれをやっておかなくちゃ”ということもあったし、稼ぎの面で自由にできないこともありました。でも40代になってやりたい放題できるようになって、しかも自分で自分のお尻を拭えるのがいいですね。ただそれは、私が独身だからっていうのはあると思いますけど。

 


40代は女の“人間宣言”をする


――お二人の30代は軍人のようにとにかく必死だった、とのことでしたが、逆に30代は結婚して子育てしているうちに時間が過ぎていった……という女性もたくさんいるかと思います。

そういう方から「子育ても一段落したので40代こそ自分の人生を楽しみたい! だけど今さらどうすればいいかわからない……」とモヤモヤしている話をよく聞くのですが、40代を謳歌するにはどういうマインドで過ごすのがいいでしょうか?

スー:まず言いたいのが、 “旧来型の女らしさ”にこだわっていると、自分に自信なんて絶対に持てない、ということですね。控えめな方が女らしいとか、三歩下がったほうが女らしいとか……その通りにしていたら、自信なんて持てるようになるはずがないです。

女らしさより、自分らしさにシフトチェンジしていくのが40代なのかも。世間からどう評価されるかを気にしているうちは自分に自信なんてなかなかつかないので、まずは自分らしさを求めることを優先することをオススメします。嫌なことは嫌だと言えるようになったほうがいいし、40代は、女の“人間宣言”をする時なんです。さっき話した“エロさ”は、そこからプラスアルファで。

大草:そうそう。自分本位であることが大切。それは40代でやっておいた方がいいことかもしれないですね。

――他にもやっておくべきことはあるのでしょうか。大草さんは残りの40代でやっておきたいことはありますか?

大草:特にこれっていうのはないです。ただ40代は本当に忙しくて、仕事も、今は全て引き受けずに調整しているはずなのに、なぜかとにかく忙しいまま来てしまいました。だからちょっとここで、残りの40代の過ごし方を考えたいなと思っています。

スー:わかります。40代は、なぜこんなに忙しいんだ!? ってくらい忙しいですよね。馬力が30代より落ちていることもあるかもしれませんが、なぜか30代の倍くらい忙しく感じるんですよ。

大草:仕事もまだやっぱり“ライスワーク”な面があるので、 “ライフワーク”に軸足をシフトしていきたいですね。でもそれって、経済的な基盤がないとできないことなので、そのためには効率を上げることや、自分の価値を上げることが必要かもしれない。それをどうするのか、これから考えていこうと思います。


――とにかく40代は楽しい! と笑顔で語ってくれたお二人。二人のように40代を楽しむために必要なのは、「自分らしさを優先すること」が重要だと教えてくれました。

次回は、避けられない老化に対して前向きでいるためのマインドや、40歳以降の恋愛、そして50代に向けての決意などをお伺いします。

後編「28歳の自分を捨てきれていない...?40代の恋愛を謳歌する極意【ジェーン・スー×大草直子】」>>

取材・文/小澤サチエ
撮影/大坪尚人
構成/山本理沙