支援者や家族が無意識に放つ「ストレス」が最大のリスク

 

支援者も家族も「リスクがあるから」と言います。これから起きるかもしれない危険、危機の可能性を回避するために当事者の行動を制限します。

 

でも最大のリスクはストレスです。そもそも認知症の症状で当事者には不安からくる大きなストレスがかかります。周りの人たちにはわからない、自分自身の中で忘れてしまったことやできなくなったことへのいら立ちや情けなさ、これだけでも大きなストレスです。それだけですむならよいのですが、外部からのストレスがさらに追加されます。それは、「行動の制限、監視などからくるストレス」です。

ストレスが溜まると身体機能にも影響を及ぼします。また、集中力がなくなり倦怠感も引き起こされます。私も診断直後、大きなストレスから気持ちにも身体にも変化が出ました。診断前の自分とは明らかに違ったのです。だから毎日不安と恐怖から涙が止まらなかったのだと思います。いま振り返るからこそわかることです。実際にその大きなストレスの中にいた時には混乱と不安と恐怖から抜け出せないでいました。自分が自分でなくなっている感じでした。そうなると、記憶力はさらに低下し、やる気も出なくなりました。そんな自分が嫌で死にたいと考えた時もあります。

当事者で元気な人は年齢にかかわらず、「診断後も自立した生活をしている、自分で決めて自由があるから元気でいられる」と言っています。

周りに迷惑をかけて申し訳ないと思うのではなく「お互い様」と思う気持ち。当事者・家族が困っている時には、助けてと言い合える関係を作ることが大切だと思います。