「新たなチャレンジによって、『自分ってこんなに可能性があったんだ』って思いました。
これからの人生、また面白くなるな、みたいな。」(小西)


――今まで、新たなことにチャレンジしてきて、何か発見はありました?

小西:「自分ってこんなに可能性があったんだ」って思いました。自分がどんどん面白くなるというか。
人間は脳みそを10%くらいしか使っていないと言われていますが、本当にそうなんだなって。「突然、頭の中から、こんな歌が出てくるんだ」というのを身をもって体験すると、これからの人生、また面白くなるな、みたいな。
そんなワクワクした気持ちで、再び役者の仕事の現場に行くと、周りの人とのコミュニケーションも広がるんです。年齢を重ねて、改めて自分に興味を持つと、自分も楽しいし、周りも楽しくなるんだなってことを発見しました。

 

川井:「自分ってこんな人だったんだ」って、色々なチャレンジをしてみて初めて分かることがあります。
デビュー前までは、クラシックだけを練習していたので、作曲家の意図を忠実に表現し、楽譜通りに演奏するという訓練を続けていたため、実は、舞台に立つのが怖かったんです。
でも、“自分の音楽”をやり始めて、舞台が楽しくなりましたし、また、自分でも曲を作ることで、作曲家の気持ちにもなれるようになりました。
それまでは、作曲家って神様のようなイメージでいたのですが、作り手としては、「その曲を、どんな風に弾いてくれてもうれしい」と思えるものなので、それに気づいたとき、クラシックの曲を弾くのが怖くなくなりました。

 
 

「『自分の声に従っていて正解だったんだな』と思えるようになったので、これからも、自分のインスピレーションや信念に従おうと思えるようになりました」(川井)


――「枠にとらわれずに活動したい」と思いつつも、周りからの評価が怖くて、一歩踏み出せない人も多いと思うのですが、「逆境に負けない秘訣」は何でしょうか。

川井:自信をもつことでしょうね。「自分がいいと思えたら、いいんだ」と思えるようになることが決め手だと思います。
人の意見に左右されたり、厳しい言葉に凹んだりするのは、危険ですよね。精神的なタフさ、潔さ、割り切りが大事なんでしょうね。
音楽家でも革命児と言われた人や新しいものを作り上げた人は、一時期、批判をされたり、認められなかったりする時期を乗り越えてきています。人の意見に迎合していたら、そういう新たなものは生まれなかったでしょうね。

小西:私は単純に、批判的なものは見たり聞いたりしないようにしています。私は自分がやりたいと思ったことをやっていくことで、周りの人が「パワーをもらったよ」と言ってくれたら、そっちの言葉を信じてやっていきます。
本当は、そういう厳しい言葉があってもめげないようになれるといいのですが……。

川井:そういう私も、「それでも、これがいいんです」と貫けるようになったのは、ようやくこの歳になって、身についてきた感じなんです。それまでは、その都度揺れていましたしね。
自分のやりたいことをやらせていただいてはいましたが、実はその何十倍も揺れていて、「やっぱりみんなの言うとおりにしようかな」と思うこともあったんです。
でも、振り返った時に、「自分の声に従っていて正解だったんだな」と思えるようになったので、これからも、自分のインスピレーションや信念に従おうと思えるようになりました。

小西:私もそれを励みに、「誰が何と言おうと!」と思えるようになりたいです。