新型コロナウイルスの感染が落ち着いてきたことから、楽天グループが原則として週4日の出社に切り換えました。諸外国でも在宅勤務を実施しつつも、出社日を増やすところが増えていますが、これからの勤務形態はどうなるのでしょうか。

 

楽天グループは、新型コロナウイルスの感染拡大と緊急事態宣言の発令を受けて在宅勤務への切り換えを実施し、緊急事態宣言が解除された地域については週3日出社、2日在宅を基本としていました。今回、感染が落ち着いてきたことから、東京本社などの社員について原則週4日出社、1日在宅勤務としました。基礎疾患がある従業員などを除き、1日出社日を増やすことで、社内の意思疎通を高めることが狙いです。

新型コロナウイルスの感染が拡大して以降、在宅勤務に切り換えた企業は少なくありません。今はオンライン会議のシステムが普及していますから、大抵の仕事は在宅でも対応できます。一方で、創造性を求められるような業務では、やはり対面でのやり取りにはかないません。

諸外国でも、ワクチン接種が進んだことから、在宅と出社の組み合わせを模索する企業が増えています。IT大手の米グーグルでは、在宅から出社への切り換えを9月に予定していましたが、デルタ株の流行などから延期。最終的には2022年1月から週3日の出社と在宅を組み合わせる「ハイブリッド型」に移行することになりました。

米国ではコロナ終息後、テレワークと週3日程度の出勤を組み合わせる形を選択する企業が多いようです。ルーティンワークの場合にはテレワーク、創造性を必要とする仕事の場合には対面という形で上手く使い分けるのがこれからの流れとなりそうです。

日本でもテレワークがうまく機能している企業では、冒頭で紹介した楽天のように、新しい勤務のあり方が模索されることになりますが、こうした勤務形態を選択できるのは、あくまでテレワークに移行できた企業に限定されます。日本では事務系の業務であっても、テレワークに移行できなかった企業がたくさんあります。感染症の拡大という非常時においてもテレワークに移行できなかった企業が、今後、テレワークにスムーズに移行するのはかなり難しいでしょう。

テレワークと出社を組み合わせるハイブリッド型が今後の主流となった場合、このやり方を選択できる企業とできない企業との間には、埋めようのない格差が生じる可能性があります。加えていうと日本の場合、テレワークにおける生産性が低いという諸外国には見られない特徴があります。

 
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