一方で、関係性のなかで起こっていることは、自分が変わることでどうにかなることもあります。自分は変われますから。だから、相手に落胆したり、怒りを覚えたり、文句を言ったり、ケンカしたりする時間があったら、自分が対応を変えてしまうほうが手っ取り早いかもしれません。「他人」は変えられない限界、「自分」は変えられる限界、ととらえておくのが得策だと思います。

 

いかがでしょうか。自分の限界の輪郭が見えてきたでしょうか。自分にできるかどうか、という可能性を判断する場面では、まず限界をはっきりさせ、その上で可能性を見ていくといい。そうすれば、頼み込まれて自分のキャパシティを超えた仕事をつい引き受けてしまうことは防げると思います。

 


時間が足りないのはあなたのせいじゃない


まだ手のかかる小さな子どもがいたり、介護が必要な家族がいたりして時間の余裕がなかったりすると、いつも時間に追われることになりますよね。時間が足りないのは決してあなたのせいじゃないのに、こんな人ほど「私は時間のマネジメントが上手にできない」と自分を責めたりしてしまう。

そんなときこそ、自分の限界に目を向けてください。自分が自分らしくいられるためには、どのくらいの時間が必要なのか。今、どのくらい時間が足りていないのか。これを見比べれば、「時間が足りないのだから、今は仕方がない」と認識できると思います。そう、限界が見えれば、できない理由が明らかになり、納得できる。そうすると、ムダに自分を責めて自己肯定感を下げることはなくなるのではないでしょうか。

私は、子どもを持ったことで自分の限界に向き合うことになりました。あのとき、向き合ってよかったと思います。なぜなら、限界を知ることは的確な判断や納得のいく決断につながるからです。
 

『人生は、もっと、自分で決めていい』
著者:薄井シンシア 日経BP 1650円(税込)

元専業主婦から62歳でホテル社長になった薄井シンシアさんが、悔いのない人生を送るための「決め抜く力」について教える本書。約20年の仕事のブランク、そしてコロナ失業と、経験した苦労は数知れず。それでもシンシアさんは、「どんな状況でも納得のいく人生をつかめる」と力説します。セカンドステージへの不安が拭えない、ワークライフバランスが上手く取れない、そんな男女に贈る、人生100年時代の生き方ヒント集。


構成/金澤英恵

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