<Chapter3>相手の“タイミング”を見極める


『二月の勝者』第3話で描かれたのは、桜花ゼミナールの金の卵・花恋(田中絆菜)の転塾騒動。名門校合格確実の彼女がいなくなれば、講師たちの査定にも響くことになります。みんな焦って引き止めようとしますが、黒木は「放っておきましょう」と一言。名門塾「ルトワック」の体験入塾に行ってしまっても、動く素振りがない。

そんなある日、偶然花恋を見かけた佐倉が彼女の足についた傷跡に気付きます。それは、「ルトワック」の授業に追いつけず、ストレスMAXになってしまった花恋の自傷行為だったのです。桜花ゼミナールでは、“女王”のような扱いを受けていた花恋。誰もが「すごい」と一目置く存在でした。けれど、「ルトワック」のクラスでは、成績は最下位。講師に名前すら覚えてもらえない……。黒木は、花恋の“女王様”気質に気付いていたのでしょう。ハイレベルななかで成績が上がっていく子もいれば、自信を喪失していく子もいる。花恋は、明らかに後者でした。

佐倉から、花恋の自傷行為について聞かされた黒木は、「そろそろなのかもしれない」と呟き、花恋のもとに向かいます。いつもは生徒に対しても敬語を使う黒木ですが、この時は「花恋」と呼びかけ、タメ口で語りかけました。「ほんとにそうだよね。勉強ができる子は、なんで褒めてもらえないんだろう。リレーの選手に選ばれたら、すっごく褒めてもらえるのに。合唱コンクールでピアノ弾いたら、クラスのヒーローなのに」––––––。花恋の気持ちに、“共感”していることをしっかり伝えた上で、寄り添ってあげる。そして、「花恋は女王様だ。少なくとも、僕や桜花(ゼミナール)にとって」と続けます。

 

もちろん、嬉しい言葉ではありますが、女王様だった時に言われても、大して心に残らなかったはず。だって、女王であることは当たり前だから。しかし、この“タイミング”だからこそ、花恋の胸に響いたのでしょう。イケメンに「カッコいいね」と褒めるのはNG! みたいな恋愛術がありますが、それも同じテクニックなのかもしれませんね。相手が自信を失っている部分を見つけて、褒めてあげる。それも、“タイミング”を見計らって。

『二月の勝者』は、まだ中盤に差し掛かったばかり。今後はどんな<黒木流 相手の心を仕留める方法>が飛び出してくるのでしょう。ドラマのストーリーも、もちろん面白いですが、お仕事術・恋愛術を学ぶ上でも勉強になる作品です。

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