ヒートアップしたクレームを鎮めるカギは「言葉」にあり

 

感情的になったクレーム客に「戦略的に勝つ」ためには、返事に使う言葉に気をつける必要があるようです。関さんは乗客の怒りを買う言葉を「ダメダメワード(Dワード)」、逆に怒りを鎮める言葉を「素敵ワード(Sワード)」と呼んで区別し、Dワードが出そうになったらSワードに変換するよう勧めています。

 

【DワードからSワードへの変換例】

「でも」→「そうですね」
「だって」→「承知いたしました」
「ですから」→「失礼いたしました」
「どうすればいいでしょうか?」→「すぐに確認します」
「どうすることもできません」→「再度試みます」

では、Dワードを使った場合とSワードを使った場合とでは乗客の反応にどのような違いが出るでしょう? 関さんは同じ状況下でそれぞれの言葉を使ったときの展開をシミュレートしています。

【Dワードを使ったときの乗客の反応】

乗客 「車掌さん、この電車はいつになったら動き出すの? さっきからアナウンスが全然ないけど」
車掌 「申し訳ございません、詳しい情報が入ってきておりません。情報が入り次第お伝えいたします」
乗客 「頼むよ、こっちは先方に連絡しなきゃならないんだから」
車掌 「はい、申し訳ありません」
※数分後
乗客 「車掌さん、その後の経過を教えてよ。変わったの? 変わってないの?」
車掌 「ですから、新しい情報が入ってきていません。このままではどうすることもできません!」
乗客 「その態度はなんだ‼」

【Sワードを使ったときの乗客の反応】

乗客 「車掌さん、この電車はいつになったら動き出すの? さっきからアナウンスが全然ないけど」
車掌 「申し訳ございません、詳しい情報が入ってきておりません。情報が入り次第お伝えいたします」
乗客 「頼むよ、こっちは先方に連絡しなきゃならないんだから」
車掌 「はい、申し訳ありません」
※数分後
乗客 「車掌さん、その後の経過を教えてよ。変わったの? 変わってないの?」
車掌 「失礼いたしました、新しい情報がまだ入ってきていません。状況が変わっていないか、再度無線の通信を試みます」
乗客 「わかった、ありがとう」

言葉がもたらす効果は思いのほか大きいことがわかりますが、関さんは言葉に気をつけるだけでなく相手の気持ちに寄り添うことも大事だと訴えます。

「車掌からしてみたら、いい迷惑だったのかもしれない。しかし、乗客の立場になって考えてみたらどうだろうか? 『先方に連絡しなきゃ』といっている時点で、仕事に影響が出ているということだ。会話の中に乗客の本音が隠れていることもあるため、そこを汲み取ることも大切な仕事なのだ」


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クレーム対応時に意識しておきたい言葉
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【1P目】怒りを買う「ダメダメワード(Dワード)」
【2P目】怒りを鎮める「素敵ワード(Sワード)」
【3P目】相手に「やりすぎた感」を抱かせる「降参ワード(Kワード)」