選ぶ基準は信頼と話しやすさ


では、かかりつけ医やかかりつけ薬局というのは、どのように決めれば良いのでしょうか。

アメリカやイギリスでは、そもそもほとんどの医療はまずかかりつけ医を通して行うということが保険制度上決められているので、かかりつけ医を作るプロセスはとても自然なのですが、どんな専門家にもほとんど自由にアクセスが可能な日本では、欧米と比較して馴染みが薄いかもしれません。

しかし、かかりつけ医を作るのはそれほど難しいことではありません。かかりつけ医として最適なのは、内科、一般内科、総合内科、総合診療、あるいは家庭医療と呼ばれる専門を持つ医師です。

これらの言葉が持つ意味や境目は、(厳密には違いがあるものの)現状では医療機関の間でもずれがあり、これらの差についてはここではさほど気にしなくても良いでしょう。自分の体の全体像をみてもらう必要があるので、できれば臓器専門家ではなく、こういった広く全体像をみることを専門にした医師が良いと思います。

そして、こういった診療科のクリニックや病院を受診して、自分が話をしやすい、信頼ができると思ったところに通院を始めれば、自然とそこの医師がかかりつけ医となっていきます。

 

先の親友の話に戻りますが、信頼のできるかかりつけ医は親友同様に突然その日に誕生するものではありません。一度会って話をして、自分と合わないと感じれば無理に同じ医師にかかり続ける必要はなく、別の医師に受診をすることも構いません。

しかし、最終的にはどこか一つの医療機関に決めて、そこでコミュニケーションをとり続け、信頼関係を構築することで、自分が信頼できるかかりつけ医が誕生します。

 

かかりつけ医になってもらうのに、特別お願いをする必要はありませんが、もしすでにいくつかの薬を飲んでおり、医療機関を変更して新たにかかりつけ医をお願いする場合には、理想的にはこれまでの医師に事情を伝え、(診療情報提供書と呼ばれる)手紙を書いてもらい、新たな医師に「今後こちらに通院していいでしょうか」とお願いするのが良いでしょう。

新たなかかりつけ医に病状やこれまでの検査結果をしっかりと理解してもらうには、このような医師同士の情報交換が必要になるのです。

かかりつけ薬局も同様です。基本的には自分が通いやすい、相談しやすい薬局を選べば良いと思います。できれば困った時に訪問しやすいように、自分にとってアクセスの良い、自宅近くや勤務先近くの薬局が良いかもしれません。

また、最近アメリカではオンライン薬局も一般的になってきました。私自身もオンライン薬局を活用しており、医師に処方された薬は全て、自宅に郵送されるようになっています。薬のリクエストなども全てオンラインで完結します。日本でもこのようなシステムが近い将来普及することになるかもしれません。


前回記事「薬を飲む、飲まないの自己判断は危険!必ず医師に相談を【医師・山田悠史】」はこちら>>
 

構成/中川明紀
写真/shutterstock