薬手帳を活用して薬の情報を共有


医師が「この薬が最適だ」と考えて1日3回飲む薬を処方し、患者さんはその薬を頑張って1日3回飲み続けてきました。しかし、どうしても昼間は仕事で忘れることが多く、1日2回になってしまったり、同僚と飲みに出かけた日は、1日1回になってしまったりすることがありました。

ここで、「やってしまった」「先生には黙っておこう」と、ミスを帳消しにしようとすると、薬が思うような効果を発揮できず、結果として病気が思うように良くならないということがありえてしまいます。

そんな時に、自分で忘れないようにスマートフォンのリマインダー機能を使うなどの工夫をすることもできますが、もう一つできることは、黙っておかず医師や薬剤師に相談するということです。

結果として、「それでは1日1回の薬があるので変更しましょう」と薬の種類を変えることで飲み忘れを防ぐことができるようになるかもしれません。

1日1回の薬、1日2回の薬と、薬の種類によっては、同じ効果を持っていても使い分けられるものもあります。そんな工夫もコミュニケーションひとつで生まれたりすることもあるのです。

 

もうひとつ例を見てみましょう。

例えば、普段はAクリニックをかかりつけ医として通院し、かかりつけのB薬局で薬をもらっているとします。しかし、ある日急に「頭痛と痺れ」を自覚して、神経内科を受診しようと考え、全く別のC病院を受診、薬をC病院の院内薬局で受け取ったとします。

 

こういった場合、薬の管理が不安になると思いますが、かかりつけ医やかかりつけ薬局とはどう連携すれば良いでしょうか。

ここで大切になるのが薬手帳だと思います。まずはC病院で薬手帳を見せ、薬の飲み合わせに問題がないかを確認します。また、薬手帳にしっかりと新たな薬の情報を追加してもらい、次にかかりつけのB薬局に行く際に、薬手帳を見せて、C病院の薬局で別の薬を受け取ったことを伝えましょう。

このように、かかりつけ薬局とも連携をとっておくことで、ミスを防ぐことができます。

また、かかりつけ医に対しても、しっかりと新たな問題について知らせることが大切です。次にかかりつけ医を受診した際に、新たに起こった健康問題についてしっかりと自分の口で伝えましょう。

もし少しでも病状理解に不安があるようであれば、C病院で一筆書いてもらう、あるいはカルテのコピーを受け取っておくのも良いと思います。それをかかりつけ医に共有することで、連携が深まると思います。

このように、情報がしっかりと司令塔であるかかりつけ医やかかりつけ薬局にも伝わるように心がけることが大切です。繰り返しになりますが、医療は個人プレーではなく、チームプレーなのです。


前回記事「薬のミスを防ぐ、かかりつけ医と薬局の選び方とは【医師・山田悠史】」はこちら>>

構成/中川明紀
写真/shutterstock

 
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