外向型が有利な社会で「隠れ内向」になった人たち


内向型には、人のことをまったく気にせずマイペースで、周囲に合わせず、ある意味わがままに我が道を行くといったタイプもいます。でも、同じく内向型であっても、そこまでマイペースになれず、人に対して感じよく振る舞おうと気をつかい、できるだけ周囲に溶け込もうと頑張るタイプもいます。その場合、気をつかうばかりで疲れてしまいます。
私は、そのようなタイプのことを「隠れ内向」と名づけました。

内向型の人は、子どもの頃から損をすることが多いものです。どんな相手にも積極的に話しかける外向型の子は、すぐに友だちができるし、先生からも気に入られますが、引っ込み思案な内向型の子は、なかなか友だちができず、先生にもなかなか馴染めません。

 

そこで、有能でモチベーションの高い内向型の子は、そんな自分を変えたいと努力し、あたかも外交的であるかのように積極的に周囲とかかわるようになります。それが「隠れ内向」の始まりです。

 

でも、外向型・内向型といった性格は遺伝によって決まる部分が大きいため、どうしても無理があり、疲れてしまうのです。

人づきあいを避けているわけではなく、積極的につきあっているから内向型ではないと思うのだけど、なぜか小さなことで心が疲れる。そうした傾向があれば、「隠れ内向」とみて間違いないでしょう。

その場合、自分自身の心の中にある内向的な性質を自覚したうえで、無理をしすぎないよう気をつけたり、ストレスを解消するよう心がけたりする必要がありますが、それ以上に大切なことがあります。それは、本来の内向型の強みを知り、それを活かすことです。

現代社会は、スピードや効率が重視されたり、フットワークの軽さが求められたり、外向型に有利なところがあるため、どうしても内向型の人は気持ちが萎縮しがちです。でも、内向型にはじつに多くの強みがあるのです。それを封印したままではあまりにもったいない。

コロナ禍で在宅勤務が増え、ジョブ型への移行もみられ、この状況は内向型にとってはチャンス到来とも言えます。ここはじっくり自分自身の性格と向き合い、その強みを活かすようにすべきでしょう。