俳優・原田龍二さんの“浮気”が週刊誌の取材によって発覚。その時、妻の原田 愛さんは夫に、「原田、アウト!」と言い放ちました。世の中を賑わせた不倫騒動でしたが、実はあれが“3回目の浮気”だったことを、原田 愛さんは新著『別れない理由』の中で明かしています。
3回浮気をされても、妻・愛さんが夫・龍二さんに“離婚”の2文字を突きつけることなく、夫婦であることを選び、「パパ」と呼び続けるのはなぜなのでしょうか。不倫騒動から2年半――「原田、アウト!」から「原田、セーフ!」に至るまでの心の葛藤について、本書から特別にご紹介します。

 

原田 愛さん
1973年6月16日東京都生まれ、神奈川県育ち。15歳で芸能界デビューし、タレント・女優として活躍するが、92年に引退。94年にドラマ『若者のすべて』で仕事復帰を果たすが、1年弱で再び引退する。俳優・原田龍二とは92年ドラマ『キライじゃないぜ』(TBS系)での共演がキッカケで交際が始まり、約10年の交際期間を経て2001年12月25日、結婚。1男1女をもうける。夫の不倫騒動に際し「原田、アウト」の名言をはなち、現在、芸能活動を再開、テレビを中心に活躍中。(写真右・原田愛さん/写真左・原田龍二さん)

 


「人は傷つけあって、許しあって、愛を覚える」


改めて3回目の浮気が発覚した時のことを振り返ってみても、やっぱり許せません。というか、私は許すつもりはないです。浮気のことを考えてしまうと「許せない! ムカつく! バカ!」っていう気持ちになってしまうので、もちろんそんな不毛なことはしません。たまに言われるんです。「浮気をする人は病気だから治らないよ」って。私だってそんなことはわかっているけど、そのことだけをずっと考えながら日々の生活を送りたくはないですからね。起こってしまったことは仕方ない、大事なのは“ここからどうしていくのか”です。

あの頃、内に籠もらずに周りからの声を聞けてよかったなって思います。言葉って暴力になる時もあるけど、私にとっては支えになることのほうが絶対的に多いんです。悲しさのあまり耳を塞いでしまいそうになりましたが、あの時の私の中に、友人や知人からの言葉を受け入れられるだけのスペースがあったから、離婚という道を選ばずにすんだのだろうなって今でも思っています。

というのも、キャシー中島さんの娘さん、勝野雅奈恵さんの結婚式に出席した時に聞いた、映画『時をかける少女』などで知られる大林宣彦監督のスピーチに感銘を受けていたからかもしれません。「人は傷つけあって、許しあって、愛を覚える」という監督のスピーチ、その言葉が私の心に深く刺さりました。人生の岐路に立たされるたびに思い返しています。

私のことを心配して伝えてくださる言葉は聞きたいと思うし、逆にそうじゃない言葉は切り捨てる。あの時のことを乗り越えられたのは、大林監督の言葉に影響された自分があったから。どんな場所でどんな言葉に出会うか、それも運命なのかもしれませんね。

私たち夫婦も傷つけあったけれど、これからも愛しあってていいんじゃないかなって思えたんです。そしてその気持ちは、今も変わっていません。