人気エディターの小林文さんに、最近のお気に入りアイテムをコーディネートとともに紹介してもらいます。

右:カチューシャ¥8250、左:カチューシャ¥4950/イリスフォーセブン

冬こそ、面積の小さい箇所にこだわるようにしています。

薄着になる夏は“肌”と“服”とのコントラストが明らか。日焼けやツヤ、水分量など、肌の様子そのものがコーディネートの一部になって、“肌見せ”がいわゆる“抜け感”の役割を果たしてくれます。

それに対し冬はというと、ウールのニット、首を覆うタートルネック、タイツ、コートetc.…体全体を厚手の素材で覆われ、肌の抜け感には期待できない。だから、パテントの靴やゴールドのイヤリングにツヤを求めたり、レザーの細ベルトやリブソックスにさりげない凹凸を託したりする。そうして、重く単調になりがちな冬のコーディネートにリズムをつけてくれる小物選びには、いつも以上に注意深くなるわけです。

そんな小物たちの中でも特に冬になると活躍してくれるのが、“カチューシャ”です。(よくよく私のインスタグラムをさかのぼって確認すると、夏にはほとんど登場していないんですよね〜)

毎年なんだかんだでカチューシャを1本は必ず買っている私にとって、今回のイリスフォーセブン2本は、特に“髪への馴染み度”が高い!

ひとつは、「スパゲッティ ヘッドバンド(グレー)」という名前のとおり、超極細!

 

公式オンラインショップによるとその幅は0.4cmで、まさに「スパゲッティ」の麺のよう。

細いタイプのカチューシャは世の中に数あれど、たいてい1cmはある。なかなかここまで極細なものにはお目にかかれません。以前デザイナーさんに取材した際教えていただいたのですが、「パリの街角で出会う、ラフな女性のヘアスタイルがイメージ」だそう。たしかに、日本のカチューシャに多い“かわいい”ではなく“シック”なムードがあります。

 
 

もうひとつは、「フレーム ヘッドバンド(ブラック)」というもの。こちらはうってかわって極太。4cm幅。これもまたなかなか他では巡りあえない、大胆な太さです。

個人的にこれに惹かれた理由は「ヘアバンドに似ているから」。一昨年、韓国で買った極太のゴム製ヘアバンドが、ほんのりスポーティで使い勝手がよくて。このカチューシャもそのヘアバンドのように極太で、かつ、厚みがないから頭のアーチにぴたりと沿って馴染む。ぐるっと円になって繋がっているヘアバンドよりも、カチューシャであるこちらは首元がもたつかず、そんなところも使いやすいのです。

いずれも素材はポリエステル。…といってもわかりにくいので、“テープリボン”を想像してもらえるといいかも。ただ、花束やプレゼントの箱を装飾する際のあのテカテカつるつるなサテンリボンではなく、マットな質感。だから、“髪への馴染み”が私史上最高です。

ところで、なぜ、“髪への馴染み”にこだわるのか。

それは、「あくまでラフにさりげなくつけたいから」です。10代や20代の若い女の子が“おめかし”っぽくつけているのはかわいいですが、それとは違う、ラフさを求めているから。だから、カチューシャに装飾やツヤは求めないし、私の黒髪に馴染む、黒やグレーがいいのです。

私の場合はパーマがかかっているのである程度ニュアンスがついているのですが、パーマなしの髪でも起き抜けの寝癖がついた状態がベスト。オイルを馴染ませ、ざっくり手ぐしでまとめ、カチューシャをオン。それだけで、単なるまとめ髪に輪郭と陰影が生まれる。コートやニットで首まで埋まっている日に、コンパクトかつニュアンスのあるヘアがコーディネートをうまくまとめてくれます。

ラフに気負わず、いつもの服に。グレーのニットとスラックスという、ラフでほんのりマニッシュな冬の服に大活躍してくれそうです。

 

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