20代の頃には見えてなかったものが見えるように
撮影から2年を経て、新型コロナウイルスの猛威が続く中での公開となりました。本作は青春映画と呼ばれる一方で、親子の喪失と再生を描く家族の物語でもあります。
「この映画の登場人物たちってみんな不器用だけど優しいんです。また、人々のいろんな思いが詰まっていて、人としての大切な感情にあふれた作品だと思っています。コロナになって友だちや大切な人に会えない状況がありました。そういう時だからこそ、この映画の人が人を大切に思う気持ちや優しさ、温かさがストレートに伝わるところは、見てくれた人の心を動かすのではないかと思っています」
大塚さん自身、コロナを経験して改めて自らの仕事について考えさせられたといいます。
「私たちの仕事は一人じゃ作れないんですよね。改めて、みんなで作ることができることへの感謝を感じています。今までも一つひとつの仕事に全力で向き合ってきたつもりですが、これから先も大切に生きなくてはと思いました」
現在53歳の大塚さんですが、歳を重ねることは嫌いではなく、この歳だからこそ見えるものもあると言います。
「20代、30代、40代、50代と、同じものを見ていたとしても、それぞれ見え方が違うと思うんですよ。20代の時にはわからないものがあったりして、そういうことに気づくと感慨深くなります。あと、自分がすごくシンプルになった気がします。若い頃は時速100kmくらいだったとしたら、今は30kmくらいがちょうどいい感じ。そうするといろんな景色が丁寧にゆっくり見えてくる。ゆっくり、ゆったりなのが心地良いと感じています」
6年前から太極拳を始め、食生活はあまり油を使わない蒸し物や鍋といった調理方法で、薄味で食べることが多いとのこと。
「食事は自分で作っているのですが、揚げ物は減りましたね。あとは野菜を多めに摂るとか、本当に普通のことばかり。お酒もワインや日本酒、ビールなど何でも美味しく飲みますし。でも、朝起きた時と夜寝る前は必ず一杯の水を飲む、という子供の頃からの習慣は続けています」
そんなに変わったことも、大変なこともしていないということですが、「そういえば、しょっちゅう笑っているかも」という大塚さん。
「笑うことって大事だと思うんです。疲れていても、自分の中で落ち込むことがあっても、笑ってしまえ! という感じですね」
シンプルに、ゆるやかに。そして笑顔。それはまさに大塚さんそのもの。来年で俳優デビューから30年目となる大塚さんの、俳優としての活躍と、しなやかな生き方から目が離せません。
大塚寧々(Nene Otsuka)
1968年6月14日生まれ、東京都出身。ドラマ『HERO』、『おっさんずラブ』、映画『LIMIT OF LOVE 海猿』など、話題の作品に多数出演。
<大塚寧々さん着用>
ニット¥86900、スカート¥50600/ともにラシュモン(アペリア)ソックスつきサンダル¥26400/カルチェグラム(デュプレックス)サファイヤリング¥85800、ゴールドリング¥25300/ともにラミエ
衣装お問い合わせ先/
アペリア tel. 03-6876-2655
デュプレックス tel.03-5789-3109
ラミエ tel.03-6303-4206
<映画紹介>
『軍艦少年』
2021年12月10日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷他にて全国公開
長崎・軍艦島の見える街で暮らす、地元の高校に通う海星と小さなラーメン屋を営む玄海。最愛の母を亡くして喧嘩に明け暮れる息子と幼馴染の妻を亡くして酒に溺れる父は互いに反目し、いがみ合っていた。そんなある日、海星は父と母が生まれた軍艦島に二人の大切な物がある事を知る。一方、玄海は妻が祀られた仏壇に一通の知らない手紙がある事に気付くが……。
出演:佐藤寛太 加藤雅也 / 山口まゆ 濱田龍臣 /柾木玲弥 一ノ瀬ワタル 花沢将人 髙橋里恩 武田一馬 / 赤井英和 清水美沙 / 大塚寧々
監督:Yuki Saito
脚本:眞武泰徳
劇中画:柳内大樹
原作:柳内大樹『軍艦少年』(講談社「ヤンマガKC」刊)
主題歌:卓真「軍艦少年」(UNIVERSAL MUSIC)
制作プロダクション:エノン
製作:『軍艦少年』製作委員会
配給:ハピネットファントム・スタジオ
https://happinet-phantom.com/gunkanshonen/
Twitter:@gunkanshonen
Instagram:@gunkanshonen
©2021『軍艦少年』製作委員会
撮影/塚田亮平
スタイリスト:安竹一未(kili office)
ヘアメイク:長縄希穂(MARVEE)
取材・文/吉川明子
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