「挫折」は「自走モード」への起爆剤

 

親御さんと話していると、

「いかにつまずくことなく受験勉強を進めるか」
「いかに効率良く目標達成(合格)させるか」

などと意識的にも無意識にでも、とにかくスムーズさばかりを求めている方が多いのを感じます。そのようなご家庭では、子どもが転ぶのを恐れて、足もとの石ころを過剰に取りよけてしまい、「挫折」させません。でも、「自走モード」に子どもをもっていくのは、「中学受験で挫折をさせない」が目的ではありません。挫折しても、自分でなんとかする力をつけるのがゴール。模試で大コケするとか、悲惨なテスト結果を出すなど、小さな挫折を繰り返すほど「自走モード」の力はついていくのです。

 

だから、親は子どもを、どんどんつまずかせるべきだと僕は考えます(鬼!)。自分から楽しそうにバンバン勉強して、成績も模試のたびにうなぎ上りと、順調を絵に描いたような子も世にいなくはないのですが、僕の生徒でも5年に一人、いるかいないか。情けないケアレスミスをしたり、見るも無残な成績をおさめたりして「もうこんなの、イヤだ!」と心底悔しがり、泣きわめいたり、すっかりふてくされたりする子の方がむしろ普通。激痛の中から、うっすらと「自分でやらないとダメなんだ。塾のせいにも親のせいにもできないのかも……」と自覚し始めるのです。