ウェブマガジン「ミモレ」とその読者コミュニティ〔ミモレ編集室〕に寄せられた皆さんのモヤモヤエピソードをもとに、日常で感じる「ちょっとした違和感」について井戸端会議していくこの連載。

2022年最初にご紹介するのは、「進路・キャリアに関する思い込み」が呼ぶ、ヒヤリハットなモヤモヤエピソードです。

 


「高校卒業おめでとう。大学はどちら?」何気ない一言が地雷を踏んだ?


エピソードをお寄せくださったのはミヤコさん(54歳・ヨガインストラクター)。

大学受験に失敗した娘。結局、娘自身が選んだ専門学校に進学しました。卒業・入学シーズンに会った知り合いからは、「高校卒業したのね。じゃあ大学生?」と何度も聞かれる日々。

なんだか申し訳ないような気持ちで、「んーっと、専門学校に進学したんです……」と答えていましたが、会話が続くわけもなく。お互いシーンとしてしまうんですよね。

よく考えてみれば、生き方には色々な選択肢がありますよね。そりゃ昔より大学進学率は高くなっているけれど、みんながみんな大学生になるわけではない。自分が逆の立場になった時に、思い込みで決めつけるような聞き方はしないようにしようと固く誓いました。 


なるほど~。「高校を卒業したら大学に進学するもの」という先入観で、気まずい会話になってしまったんですね。これって、他にも似たような場面がある気がしますね。

 


アンコンシャス・バイアスはなくならない。どこにあるか分からない地雷を踏まないために


「高校卒業したのね。大学はどこにしたの?」
「大学卒業したのね。就職はどうするの?」
「付き合って三年なのね。結婚はどうするの?」
「妊娠したんだね。仕事は続けるの?」

ちょっと考えただけでボロボロ出てくる、アンコンシャス・バイアス=無意識バイアスがにじみ出るクエスチョン。

アンコンシャス・バイアスとは、自分では気づいていない思い込み・先入観による認知のゆがみのこと。「高校を卒業したら、普通大学に進むだろう」「大学を卒業したら、普通企業に就職するだろう」「何年か付き合った男女は、普通結婚するだろう」「妊娠した女性は、仕事を辞める可能性がある(男性にはない)」そんなアンコンシャス・バイアスによって、場が気まずくなることを言ってしまったこと、皆さんにはありませんか?


仕事をしていると、「イエス/ノーで答えられる質問をしろ」と言われることがあります。相手の選択肢を狭めて(あげて)から質問したり相談したりするのが、親切だし効率的なんだという考え方。

でもプライベートでは、相手の答えを勝手に想像して決めつけて、先回りするようなことはしたくない。そして、されたくないですね。

「新しい門出に、あなたはどんな選択をしたの?」

そんな、オープンマインドな声掛けができたらいいなと思います。
 

気まずい、ショック、カチンときた……。モヤモヤシーンは学びのチャンス


ミヤコさんの話には続きがあります。

ちなみに娘は今、専門学校で初めて彼氏ができ、就職もし、一人暮らしを満喫しています。大学に行くのが当然と思っていた私ですが、今では良かったなと思っています。


知人の方も、きっとこの話が聞きたいんじゃないかなぁ。


皆さんから寄せられるモヤモヤエピソードを読んでいて思うのは、モヤモヤって「私の常識とあなたの常識の交差点」で発生するということ。

モヤモヤイベントにぶつかったとき、あなたはどうしますか? ミヤコさんたちのようにシーンとしてしまったり、急いで話題を変えたり、「この人とは分かり合えない」とスパッと切ったり。「あ! 地雷踏んだ! 逃げよう!」と、回れ右してしまう人が多いのではないかと思います。でも、「地雷だ」と決めつけることだって、アンコンシャス・バイアス。


だからそこで、モヤモヤに正面から向き合うことができたら。

世の中には色々な価値観と選択肢があること、それぞれに素敵な可能性があるということを知るチャンスなのかもしれません。もちろん、それに共感できるとは限らないけれど、それはそれでいいんじゃないでしょうか。新しい価値観を知ることと共感するかどうかは、また別の話です。

「今日のモヤモヤ話」も、読んでくださった人にそんな小さな「学びの光」が差し込むような存在になれたら嬉しいです。今年もどうぞ、よろしくお願いいたします!

皆さんのモヤモヤ話を教えてください!

職場や家庭で、イラっとしたけど言えなかった、違和感を感じたけど言葉にできなかった、モヤモヤしているのは私だけ? と思った経験がありましたら教えてください。エピソードを掲載させて頂く際はミモレの会員ニックネームではなく、仮名でご紹介します。皆さまからのエピソード投稿をお待ちしております。

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〔ミモレ編集室〕は、ミモレのオフィシャルコミュニティです。「好きを伝え、つなぎ、つながる」をキャッチフレーズに、〔ミモレ編集室〕メンバーの一人一人がこれまでに培ってきた美意識や好きなこと、最近気になっていることなどを自由にシェアし、繋がる場です。

構成・文/梅津 奏

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