支えてくれる存在を忘れずに、いつも感謝を

 

苦しかった40代から、人生の転機を迎えた50代。チェリーさんには、支えてくれるかけがえのない家族の存在がありました。

「40代の一番辛かったときは、弟にどれだけ助けられたことか。忙しい合間を縫って、1週間に2回くらい家に来てくれたの。私がすっかり閉じこもっていたから。それから、スイスに赴任した弟に、夫とのことで悩んで手紙を書いたら『ちこちゃんの手紙を読んで、涙が止まりませんでした』と返事をくれたこともあったわ。『こうしたほうがいいよ』なんて絶対言わなかった。言葉ではなくて、いつでも親身に寄り添ってくれたわ。私にもアンナにもね。そんなすばらしい弟だったから、病気で若くしてあっという間に逝ってしまったときの悲しみといったら。弟のことを思うと、ダメね、今でも涙が出てしまうの」

 

「考えてみれば、苦しい思いをさせられた夫もまた、支えてくれる存在でした。私の人生を応援してくれていたし、最後の最後まで私に経済的な心配をさせなかった。それは大きかったと思うの。私が感謝の言葉を伝えたら、『嬉しいよ』って言葉少なにひと言。彼らしいと思ったわ。彼が亡くなったとき、娘には息子がいたし、私には二人がいて、自分でも思い残すことはないと言っていました。

家族ではなくて、友達が支えになってくれる場合もあるわよね。私の場合は、たまたま弟であり、夫であり、今は娘や孫であるわけだけれど。苦しいときは、周囲が見えづらくなって心を閉ざしてしまいがちだけれど、いつでも支えてくれる存在があることに心を強くしながら、感謝の気持ちも忘れずにいたいと思うの」


マダム・チェリーの生き方やライフスタイル、おしゃれのお話は、著書『マダム・チェリーの「人生が楽しくなるおしゃれ」』(講談社)にも。ぜひ参考にしてみてくださいね。

『マダム・チェリーの「人生が楽しくなるおしゃれ」』
マダム・チェリー 著 講談社刊 

「老化は進化よ!」 70代でモデルになり、そのおしゃれも評判のマダム・チェリーが、毎日の着こなしをたっぷりと紹介! 年を重ねた今だからこそ似合う服やコーディネート、グレイヘアの育て方やアレンジ術など、人生後半のおしゃれを楽しむコツが満載です。

撮影/目黒智子
取材・文/河合映江
構成/松崎育子(編集部)

 

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