人生で初めて知った「評価される」喜び


サカキラボに入社したばかりの頃、とにかく辛かったのが、必死で働いているのに何も結果が出せないので、お給料が全く上がらなかったこと。大企業でOLしていた頃の方がよっぽどお金があったなあ……という状況でした。

でも次第に、例えお給料がなかなか上がらなくても、今は“食”という好きなことに関わりながら少しずつ頑張っていきたい、と前向きに思えるようになりました。

特にラボ&キッチンの仕事以降、「変わったね」と周りから言われることが増えました。

キッチンの仕事に関わったことで、これまで自分の中でバラバラだった要素が、ようやくひとつになった気がしたんです。

食やお酒が大好きなこと、ワインエキスパートの資格を取ったりワイン販売のバイトをしていたこと、昔から自宅に人を招き料理でもてなすことが大好きで、駐在時代もたびたび人を呼んでパーティーをしていたこと……。これまで自分がやってきたすべてのことが、ラボ&キッチンに詰まっていました。
 

 

点と点が線になったような感覚です。最初は自分でも気がついていませんでしたが、ある時社長から「キッチンに関わるようになってから、すごく成長したね」と言われてハッとしました。

それまでがむしゃらにやってきたけれど、はじめて「評価されるってこういうことだったんだ」と思えた瞬間でした。

時間を忘れるくらい仕事が楽しくて没頭していましたが、皆が皆、同じようにこの仕事を楽しみながら頑張れるわけじゃない。これは私だからできることなんだ、と思いました。

サカキラボでの10年を通して思ったのは、それまで仕事にならないと思っていたことが、意外と仕事になったりするということ。私にとってはそれが、“食”や“人の縁”だったんです。

でも自分の好きなことや特技を仕事にしたいなら、それなりに工夫や努力が必要です。ただ好きなだけでは何も産み出さないので、何より大切なのは“見せ方を考える”ことなのではないでしょうか。

 


40代に入ってからの離婚、専業主婦からの脱却、そして未経験業種への就職……と怒涛の日々を過ごしてきた杉浦さん。

人はつい、「経験がないから自分にはできない」「年齢を重ねてからの挑戦は難しい」などと、最初から諦めてしまいがちです。

しかし何歳になっても、自分の好きなことが仕事に変わるチャンスはいくらでもあるのだと、杉浦さんの話を聞いていて強く勇気づけられました。
 

構成/山本理沙

 

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