仕事が途切れないライターの共通点は「品質管理と覚悟」


――仕事が途切れないライターになるためには

バタやん:一言で言えば、品質管理。内容が間違ってないこと、表記の不備や誤字脱字含め、商品として提供できるクオリティを保てるかどうか。取材っていろんな状況がありますよね。すべてがうまくいくとは限らない。でも、どんな状況でも締切はくる。その中で、求められるレベルまでは絶対的に仕上げてくるという信頼感はとても大切です。

 

さとゆみ:幸運なことに、今は出版社に限らずオウンドメディアや広報、SNS運用など、書くことが必要なポジションがすごく増えていますよね。私のまわりの編集者さんも、いつもライターを探しています。「書けるライター」の需要は、皆さんが思うよりもずっとあると思います。「的確に分かりやすく書ける」人であれば、仕事には困らない時代が来たんじゃないかな。あとは、いかにライター募集の情報にリーチするか、ですよね。

 

バタやん:編集部のメールやSNSのダイレクトメッセージにも、ライターさんから売り込みや企画が送られてくることがあります。きちんと目を通しています。「こんな記事を書きました」「〇〇県在住でこんなジャンルに強いです」と書いてあれば、編集者の頭にインプットされますから、すぐにお願いすることがなくても、ぴったりの企画が立ったときに依頼することもあります。やはりそういう売り込みや営業の努力、アウトプットが仕事につながると思います。

さとゆみ:私は、売り込みや営業で、仕事の幅を広げるように意識してきました。最初はヘアライターとしてファッション誌からスタート。美容専門誌での執筆、オウンドメディアの編集長、それから自身の書籍、人の書籍の執筆。並行して、ビジネス系ウェブサイトでインタビュー原稿の執筆やコラム、エッセイ、書評、ドラマ評、ライター講座の講師など、仕事を広げてきました。

どうしてそのように仕事を増やしてこれたかというと、私、書く仕事を続ける工夫に関しては、ものすごく戦略的で粘着質なんです(笑)。

ひとつ言えることは、ライターのレギュラー仕事も、作家として書く連載も、いつか終わる。だから、いただいた仕事だけやっていたら先細りですよね。
だからこそ、また頼んでもらえるようにクオリティを落とさないことだけではなく、「次はこんな企画をやりたい」といつも周囲にアピールし続ける。

これは特別な才能がなくてもできることです。やる気があって正しい努力をすれば、ライターという仕事を続けるのは難しくないと私は思っています。

バタやん:そうですね。必要なことは、書くことを仕事にしようと決めて、周囲にも伝え、まずは少しずつでも仕事として書き始めてみること。〔ミモレ編集室〕や佐藤さんが開催しているようなライター講座に通いはじめたり、最初は単価が安いかもしれませんがライティング業務のマッチングサイトに登録したりして、まずは仕事として書いてみると、とっかかりが見つかるはずです。
 

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ミモレ編集部主催オンラインコミュニティ
〔ミモレ編集室〕とは

「好きを伝え、つなぎ、つながる」をキャッチフレーズに、〔ミモレ編集室〕メンバーの一人一人がこれまでに培ってきた美意識や好きなこと、最近気になっていることなどを自由にシェアし、つながる場です。毎月の「編集・ライティング講座」では、各界で活躍するプロフェッショナルの方をお招きしたゲスト講義やバタやんのWEB文章術をお届けしています。文章添削や課題のフィードバックも。ネットでの発信力を上げたい、文章を書くのが上手くなりたいという方はぜひ〔ミモレ編集室〕で一緒に学びませんか。メンバーになると、これまでの講義のアーカイブ動画や記事もご覧いただけます。

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佐藤友美(さとゆみ)
ライター/コラムニスト 
テレビ制作会社勤務を経て、ライターに転向。日本初のヘアライ ターとして、ベストセラーとなった『女の運命は髪で変わる』(サン マーク出版)をはじめ、数々の著作を上梓。美容業界や一般読者か ら人気の存在として、テレビやラジオにも多数出演している。 ビジネス書、実用書、自己啓発書などの執筆・構成を手掛ける書籍 ライターとしても活躍の場を広げ、約50冊の書籍の執筆に関わっている。「生まれてはじめて1冊読み切った」と読者から感想が続々届く「わかりやすい文章」を書くライターとして知られる。近年はコラムニスト/エッセイストとして、『ママはキミと一緒にオトナになる』(小学館「kufura」)、『ドラマな日常、日常にドラマ』(東洋経済オンライン)、『本という贅沢。』(朝日新聞社「telling,」)、 『さとゆみの「ドラマな女たち」ヘア&メイクcheck』(講談社「mi-mollet」)、『大人のヘア問題、白黒つけます』(扶桑社「ESSE online」)、『歳を迎え討つ』(大和書房)などの連載を持つ。宣伝会議主催の「編集・ライター養成講座」では長年講師をつとめ、近年は「さとゆみライター講座」として専任講座も持ち、その赤裸々 で超実用的な講義が人気を博している。https://satoyumi.com/

川端里恵(バタやん)
「ミモレ」編集次長・ブランドマネージャー。1979年生まれ。身長151cm。2002年講談社入社後、広告部、「with」「VOCE」「FRaU」、デジタル部、雑誌マーケティング部、新雑誌研究部など、女性誌のWEBサイトリニューアル、新雑誌創刊なども経験し、現「ミモレ」編集部へ。〔ミモレ編集室〕では、WEBライティング講座の講師を担当。Podcastにて本紹介のラジオ「真夜中の読書会〜おしゃべりな図書室」も毎週配信中。
インスタグラム:@batayomu ツイッター:@batayan_mi

 

次回は、お二人に「実際にライターとしてデビューする6つの方法」「書く仕事の探し方」を伺います。
 

取材・文/佐野倫子
構成/川端理恵

 

<質問募集!>
おかげさまでこの「WEB文章術」も連載20回をこえ、ライターやブロガーを目指す方に限らず、広報PR活動に携わる方、個人のSNSをブラッシュアップされたい方など、世代をこえて幅広い方から反響をいただいております。そこで、みなさんから文章や発信にまつわるお悩みやご相談を募集します! 書くこと、発信することにつきまとうお悩みを共有しながら、一緒にステップアップできたらと思います。

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イラスト/shutterstock、川端里恵

 

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