有名喜劇につづられた逆境を味方にする考え方

 

幸せになるには決断だけでなく行動が必要であることが分かりましたが、その過程で苦難や挫折に直面し、心が折れそうになる瞬間もあるでしょう。そのような逆境の乗り越え方を、『ハムレット』『ロミオとジュリエット』などで知られるイギリスの偉大な劇作家ウィリアム・シェイクスピア(William Shakespeare 1564-1616年)が示唆しています。彼の代表作の一つである喜劇『お気に召すまま』には、このようなセリフがつづられていました。

Sweet are the uses of adversity.
逆境が人に与える教訓ほど甘美なものはない。

〈S+are+C〉「SはCである」の、C(補語)を強調して文頭に出した形。〈C+are+S〉とS(主語)を動詞(are)のあとに置きます(倒置構文)。
<例文>
So strong was her resolve.
(彼女の決意はとても固かった)

 


逆境から得られるものとは?


これは『お気に召すまま』に登場する老公爵のセリフですが、「逆境」が「甘美」な理由は、教科書には載っていない人生の教訓が得られるから。その教訓を小池さんはこのように解釈しています。

「老公爵が言うように『この身の何たるか』を、つまり自分の真の姿を痛感させてくれることです。もう一つは、他人の心の温かさを身に染みて感じられることです。他人の心の温かさを、身をもって知ると、人の心を傷つける言動や、人を陥れ、いじめることができなくなるのです」

この「人の心を傷つける言動や、人を陥れ、いじめることができなくなる」という考えは、小池さんご自身の経験から編み出されたものでした。

「今思えば、私は人を陥れたり、人の人生を破綻させたり、人を誹謗中傷するようなことをしたことがありません。なぜならば、いつも善良な優しい人たちが手を差し伸べてくれたからです」

だからといって「逆境ウェルカム」とはならないでしょうが、自分や他人の真価を見極める絶好の機会だと考えれば、気持ちをちょっとずつ前に向けることができるかもしれませんね。