松田杏奈役は“米倉涼子”を感じさせない演技


主役は米倉さん演じた松田杏奈なのですが、ある意味、場面ごとに登場人物の1人1人が主役として描かれていることを印象づけています。藤井監督が米倉さんに「声を小さくして……」と伝えたのも演出の上で必要だったことでもあったのです。その時のことを藤井監督が振り返ってくれました。

「米さんは1人で背負おうしていました。カメラも照明も録音も美術も含めて、全員で役者の芝居を作っていくのが自分のディレクションのスタイルです。だから、米さんにも肩の力を抜いてもらって、感情を優先にしたお芝居をお願いしました。『大きな声を出したい!』と言ってましたがね(笑)」

 

結果、米倉さんの演技は「想像以上のものだった」と言います。「本当に頑張ってくださった。米さんじゃないと成立しなかったんじゃないかと思っています。カメラのモニターに映る米さんの演技を見ていくうちに、ある時から海外の女優さんに見えてきたんですよ。顔も名前も知らないけれど、芝居が素晴らしく上手い40代の女優のようで。“米倉涼子”を感じさせない演技は、僕にとって印象的なことでした。本当に感謝しています」

 

言語の壁を越えるような、演技力で勝負した作品であることは見れば納得でしょう。Netflixの棚にはさまざまな国の作品があるわけですが、米倉さんと藤井監督が互いにハマったNetflix作品があることも教えてもらいました。そのドラマとは、イケメン女子が主役の世界的ヒットドラマ『クィーンズ・ギャンビット』だったそうです。これも抜群の演技力を見せる作品のひとつです。

 

実はこの藤井監督へのインタビュー中、サプライズで米倉さんご本人が一瞬、登場する場面もありました。こちらにスマホのカメラを向けながら、笑みを浮かべて近づいてくる米倉さん。こんな素敵なお茶目な一面を見せてくれたことで、撮影現場の空気感も想像できました。信頼関係が築かれたなかで、チャレンジングな役もストーリーも作られたんじゃないかと思わせる作品です。

米倉涼子、綾野剛、横浜流星ら豪華キャスト『新聞記者』メイキング&場面写真
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<作品紹介>

Netflixシリーズ『新聞記者』
1月13日(木)、Netflixにて全世界同時独占配信

 

■キャスト
米倉涼子、綾野剛、横浜流星、吉岡秀隆、寺島しのぶ、吹越満 、田口トモロヲ、大倉孝二、田中哲司、萩原聖人、柄本時生、土村芳、小野花梨、橋本じゅん、でんでん
ユースケ・サンタマリア 佐野史郎

 
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