超高齢社会を生きる私たちが望むのは、ただ長生きするのではなく、“死ぬまで元気”でいること。なるべく人の手を借りず、最期まで自立した生活を送りたい。そのために、今すぐできることは何か。NY在住の老年医学専門医、山田悠史先生の新刊『最高の老後 「死ぬまで元気」を実現する5つのM』(6月24日発売)から、その答えをひとつご紹介します。

ワクチンは時間が経つと効果が薄れる


感染症から体の健康を守るために、どのようなワクチンが必要なのか。ほとんどの方は子どもの頃に必要な予防接種の多くを受けており、終生多かれ少なかれ効果を発揮してくれ、その恩恵は(なかなか身をもって感じることはできませんが)大人になっても受け続けています。

しかし、効果が時間とともに薄れてしまうため随時アップデートが必要なものもあり、自身でスケジュールを管理しなければならないものもありますので、ここで確認をしておきましょう。

1.新型コロナウイルスワクチン
もはや「言わずと知れた」ワクチンとなった新型コロナウイルスのワクチンは、今の時代に必須のものになりました。今後どのような頻度で必要になるのかはまだ明らかになってはいませんが、情報の更新にアンテナを張りながら、必要な時にアップデートをしていくべきでしょう。インフルエンザと同様に、1年に1回のワクチンになっていくのかもしれません。

2.インフルエンザワクチン
インフルエンザワクチンも全ての成人が対象となるワクチンの一つ。インフルエンザは毎年その姿を変えていくことから、(流行期の前に)1年に1回のアップデートが必要です。毎年受け続けることで、入院予防効果が増強される可能性も指摘されています(参考文献1)

現在、用いられている不活化ワクチンは効果の弱さを指摘されることもあり、今後はインフルエンザワクチンにもmRNAワクチン(新型コロナウイルスに用いられているワクチン)などの新しいプラットフォームが導入されることになるかもしれません。

 

3.破傷風ワクチン
破傷風ワクチンは10年に1回のアップデートが必要なワクチンです(参考文献2)。破傷風をおこす細菌は、自然界の土壌中に住んでおり、普段はあまり問題になることのない感染症ですが、例えば転んで怪我をしてしまったなどの際には問題になることがあります。怪我で皮膚のバリアが破綻してしまうと土壌中の細菌が体に侵入できるようになってしまうからです。

ワクチンがアップデートできていればあまり問題になることはありませんが、感染した場合、体の筋肉が硬直し、多くの方に後遺症を残す病気です。10年に1回は追加接種を受ける必要があります。
破傷風ワクチンを含む3種混合ワクチンが日本で全国的に使用されるようになったのは1968年からで、その後も接種率が低下した時期などがあったため、ワクチン接種歴がない方が一定数います。その場合は、計3回の接種が必要となります。農作業など破傷風リスクの高い仕事をされている中高年の方は、初回免疫獲得を目的としたワクチン接種が望ましいです。

 

4.麻疹・風疹ワクチン
麻疹・風疹ワクチンは、基本的には子どもの頃に皆さんが受けている予防接種ですが、定期予防接種に組み込まれたのは、麻疹のワクチンは1978年の10月から、風疹も当時は女性のみしか接種が行われていませんでした。このため、1962年4月2日から1979年4月1日生まれの男性は、抗体価が低い場合に、定期接種の対象となっています。

自分自身がワクチンを受けたか、抗体価が十分かわからない場合には、医療機関で血液検査を受けることにより調べることができます。不明な場合には調べてもらうとよいでしょう。値が低い場合には追加接種が推奨されます。

 
  • 1
  • 2