「環境を変える」ことが夢を叶える近道


結論から言うと、税理士になるまでに5年間もかかりました。

その間に編み出したのは「25時間勉強法」。どういうメソッドかっていうと、とりあえず朝起きた瞬間から勉強を始めて、寝るまでやる。24時間の概念にとらわれず、自分軸で時間を無駄にしないでごりごり勉強するというだけなんですけれど……。そのくらい必死にやりました。それでも1年に1回しかない税理士試験なのに、不合格の年もあり。もう勉強辞めようかなと何度も思いました。

それでも辞めなかった理由。それは、20万円の予備校代を、新卒の主人のお給料から出してもらっていたからだと思います。20万円は我が家にとって大事なお金でした。応援して快く出してくれた主人の顔を思い出すと、逃げるわけにはいかなかったんです。

そして諦めなかったもう一つの理由は、同じ目標を持つ仲間の存在でした。

 

頑張ってるときって、自然に頑張っている仲間が集まってきませんか? 私は元来ぐうたらした性格なんですが、仲間とならばどこまでも頑張ることができた。言い換えれば、夢に向かえる環境に身を置くことが、目標を達成する近道なんだと思います。

 

「今年落ちたら辞めよう」と唱えながら、どうにか5年目に晴れて税理士になることができました。最後のほうはもうプロ受験生になってますから、全国模試でも名前が載るくらいに。そういう小さなことも励みにして、ガムシャラに頑張った5年間でした。

 

さあ、晴れて税理士。意気揚々と、大手税理士法人を受けに行きますが、あっさり不採用。作戦を練り直して、半年後、2回目の挑戦で採用通知を勝ち取ります。

話は飛びますが、私の原動力はいつも結構、「下世話」です。

5年間も25時間メソッドでがりがり勉強していたので、とにかく東京でキラキラしたOLになってみたかった。「大きくて綺麗なオフィスで、エリート社員と一緒に働く自分」になってみたかった。

思えば高校受験の時も大学受験のときもそうでした。ここだ! と憧れた学校があると、ひたすらそこにいる自分をイメージ。というよりも、もうそこで勉強している自分が「見える」。あとはそのためにやるべきことをやるだけ。

イメージの力って大切です。そして自分の欲望に正直に、素直に努力すると、パワーと執念を効率よく使うことができます。

……そんなふうに首尾よく、意気揚々と始まったキラキラの会社員生活。定年まで勤めるかもと思っていた私の理想は、8年で終わりを迎えます。

きっかけは、出産後に「肩たたき」をされたのかも? と感じたことでした。


次回は、川崎さんの二足のわらじに向けた大いなる転換と直後の「黒歴史」、そしてそこからの軌道修正方法についてお話を伺います。

川崎涼子さん
税理士川崎涼子事務所代表
株式会社リベルテ代表取締役
京都生まれ、東京在住。税理士試験に合格後、大手税理士法人に勤務。出産後はワークライフバランスを重視し、税理士法人にて主に中小企業の税務顧問に従事した後、独立開業。2020年度の港区助成事業に採用された「女性起業家のためのイチから分かる会計講座」を担当。税理士業務と並行してSNSを通じて起業家育成を担う。2021年、株式会社リベルテにて、女性フリーランスのための会社設立講座をスタート。2人の小学生男子の母。
税理士川崎涼子事務所
▶Facebook「女性起業家のための節税クラブ」
▶Instagram@ryoko_tax_zeirishi

取材・文/佐野倫子
構成/山本理沙
写真提供/川崎涼子さん
 


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