猫たちはハンデなんて気にしない


次に紹介するのは、良子さんと4匹の猫たちの物語。
交通事故で顔面を強打し、視力を失ったキジトラのてつお。負傷して衰弱したところを保護されたサバ白のこま。原発事故被災地の福島からレスキューされたミルキー。そして、交通事故に遭い下半身まひが残ったレオ。

4匹はいずれも、埼玉県の保護猫団体「またたび家」のシェルターから迎えた猫たちです。

 

シェルターの手が足りない現実を知り、預かりボランティアとして猫たちとともに暮らす良子さん。普段の4匹の様子を、佐竹さんはこう教えてくれます。

ゴトゴトゴトッ。2階から音を立てて滑り降りてきたのは、推定6歳、キジトラのレオだ。彼は、1歳にならないとき、交通事故の負傷猫として保健所に収容された。またたび家に引き出され2時間もの手術に耐えた。脊椎骨折による下半身まひが残ったため、生涯の介抱が必要だ。レオは、家猫になって階段降りを覚えた。階段には、下半身すれ防止のマットが敷いてある。床の上の移動は、前足でスイスイとすばやい。

雄猫3匹が仲良く暮らしているのは、先頃旅立った最年長の水吉が誰とも仲良くなれる性格だったからだ。ただし、レオは、新入りの預かり猫が来ると、後ろ半身が浮いて見えるくらいのすごい速さで追いかける。走りっぷりを見せつけたいのかもしれない。
 


見送った猫へのつぐない


良子さんがこれほどまでに猫たちに愛情を注ぐのには理由があるようです。
過去に盲目の「トラ」と暮らしていたときのこと。病状ばかりに気がいってしまい、トラの気持ちに寄り添うことができなかったことへの後悔、そして償い。

「つらい思いをさせたまま見送ってしまった。同じような境遇の子がいたら、今度はちゃんと寄りそってやりたかった」

「自分にできることは何だろう」と思いを巡らせ、シェルターから高齢猫を預かったり、できることを続けてきたという良子さんは、今日も4匹の猫たちに寄り添い続けています。