沖縄の物価は決して安くはない

共同売店の前に設置された自販機は、関東ではお目にかかることのないドリンクで溢れています。お値段はリーズナブルですが、生鮮食品は値が張ります。

家賃は神奈川にいた頃より下がったものの、思ったほど下げられずに予算オーバーしてしまいました。国が実施している最大100万円の移住支援も沖縄は対象外のため、当然援助も期待できません。また、沖縄は引っ越し代も高くつくので、テレビや電子レンジなどの小型家電だけ移動させ、冷蔵庫やベッドなどの大きいものは諦めて現地で買い直しました。

 

「地域によると思いますが、沖縄の物価は決して安くはありません。田舎に行くといろいろ安いんでしょ? と思われがちですが、沖縄は離島で輸送コストがかかるので、都内のスーパーの安売り品の方が断然安いんですよね。そこを勘違いして移住すると、安くない! って感じてしまうかもしれません。電気代も安くないですし、ガスもプロパンなので都市ガスよりは高くついてしまいます。

ただ、なぜか水道代だけは安くて(笑)。沖縄は珊瑚の島なので石灰石が多く、水道水はやや硬水でシンクが白くなってしまうんですけどね。これは大袈裟な表現だと思いますが、“水道水を飲んでいると胆石になる”と言われたこともありました。さすがにそこまでではありませんが、飲用にはあまり向かないですし、水が柔らかくないので出汁は取りにくいですね。我が家はウォーターサーバーを置いていて、そうしている家は多いようです」

日常生活の合間に絶景カフェに行けるのも沖縄移住の良さ。


移住後は人との交流が増えた


小高さんが住む瀬底島は、周囲約8km、800人ほどの人が暮らす小さな島です。エリア内には移住者も多く、年齢も若い夫婦から50〜60代の方までさまざま。神奈川にいた頃より人との交流が増え、コミュニティが広がりました。

「自分の周りにそういう人が集まっているだけかもしれませんが、困っているとすぐに友達の友達を紹介してくれるんですよ。その一方で、沖縄は引っ越しても2年ぐらいでいなくなってしまう人も多いので、地元の方が仲良くしてくれないパターンもあるようです。5年ぐらい住んでやっと“あんたずっとここにいるねぇ”って深く仲良くなれる。なので最初はそういうものなんだって諦めて過ごすぐらいの方がいいんじゃないかと思っています」

自宅近くの本部港からわずか20分ほどの場所で見ることのできるクジラ。毎年冬になると、子育てや繁殖のためにやって来ます。


次回は観光客が知らない「リアルな沖縄」についてお届けします。

 
 


沖縄で出会うさまざまな景色
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撮影/小高朋子
取材・文・構成/井手朋子

 


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