難民受け入れの少なさも問題です。日本はこれまで、難民をごくわずかしか受け入れてきませんでした。2020年に日本で難民申請した3936人のうち、認定されたのは47人。受け入れ率はわずか0.5%です。例えば同じ年のシリア難民の受け入れ率は、ドイツ78%、アメリカ62%、オーストラリア89%。日本では難民申請をしても認定がおりず、命の危険がある母国に送り返されてしまう人もいます。

こうした実態は残念ながら「他所から来た人は極力仲間にいれたくない。この社会のメンバーでない人は、死んでも構わない」という姿勢を示したものと言わざるを得ません。昨年3月に名古屋出入国在留管理局に収容中だったスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさんが亡くなった事件は記憶に新しいです。

 

日本の子供たちに英語を教えたいという夢を胸にスリランカからやってきたウィシュマさんは在留資格を失い、同居男性から暴力を振るわれていました。コロナ禍と資金難からスリランカに帰国することができず、名古屋入管に収容中に体調が悪化。深刻な症状を訴えていたのに適切な治療を受けさせてもらえず、33歳の若さで亡くなりました。2007年からの入管収容中の死亡者は17人にも上るそうです。

政府がウクライナから避難してきた人たちを迅速に受け入れる準備を進める様子を見ながら、なぜ自分は受け入れてもらえないのだろうと複雑な思いをしている人もいるでしょう。これを機に、行き場をなくして困っている外国の人たちに対する日本の姿勢が根本的に見直されることを願います。また、逃げてきた人は受け入れられたらゴールではありません。そこから新しい人生が始まるのです。日本語学習支援や就労支援など、安心して暮らしていけるサポート体制が欠かせません。差別や搾取からも守られねばなりません。

スマホやテレビの画面を見て、難民となったウクライナの人たちを受け入れてあげたいと思ったら、自分の生活圏で一緒に生きる日常をイメージしましょう。日本に不慣れな人が増えると、今まで必要なかったような手間がかかることもあるし、街は見慣れた風景とは違う景色になっていくはずです。第二言語として話される日本語にも耳を慣らす必要があります。誰かを受け入れるということは、自分が変わるということなのですね。

ウクライナ避難民受け入れ窓口一覧(3月23日時点)
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