天気が良ければすぐ海へ

 

移住前は、主に食や農業関係者に取材を行い、記事を執筆するライターとして収入を得ていた小高さん。沖縄移住によって受けられなくなってしまった仕事もあり、収入は少しだけ減りました。それでもやっぱり「沖縄に移住して良かった」と日々実感しています。

「移住して良かったことですか? それは何と言っても、朝起きて天気がいいなと思ったらすぐ海に入れること! 自宅から海まで車で3分ほどですが、シュノーケルポイントがいくつもあるので海に潜ってから仕事をしたり。今住んでいる瀬底島という島は、島内を散歩しているとヤギに遭遇したりして、日々癒されています。

それから南国のフルーツはやっぱりすごく美味しいですよね。沖縄は赤土なので葉物野菜の栽培には向いていませんが、その分フルーツで気持ちを満たしています」

沖縄に来て嬉しいことの1つは、美味しいフルーツが身近にあること。

その一方で、沖縄に足りないと感じるものも少しだけあり、その1つが「芸術文化に触れる機会が少ないこと」だとか。

「私はもともと美術館やライブなどの芸術鑑賞が好きでしたが、沖縄にはそういった場所が都内に比べて少ないので、用事があって福岡や東京に行った時にはここぞとばかりに満喫して帰ります。あとはニッチな商品が手に入りづらいので、都会に遊びに行った時はデパートを物色するのが楽しいですよね(笑)。那覇と成田はLCCのピーチが飛んでいますし、羽田もスカイマークを使えば片道1万円ぐらいで行けるので、沖縄に移住したからと言って何かが遠のいた感じはありません」


コミュニティを作りたくてカフェ勤務も

ウミガメの産卵地にもなっている近所のビーチ。

現在は、本業であるライターの仕事をやりながら、週に何日か地元のカフェを手伝っています。

「カフェで働こうと思ったきっかけは、収入面の確保というよりは、空いている時間にお手伝いしてそれによってコミュニティを作りたいなと思ったからです。ライターの仕事の中には、オンラインで取材して、ほとんど誰とも関わらずに完結してしまうようなものもあります。でもそれって孤独で少し寂しいなと感じていて。それより誰かとコミュニケーションを取りながら関係性を築いて、そこからさらに仕事を生んだ方が、これまでやったことのない新しいものが生まれると思うんです。

実は今、ライターの仕事で知り合った長野県にある菓子製造メーカーさんにお声がけいただいて、沖縄の農作物を使ったドライフルーツ作りを行なっています。去年から始めたことですが、これも移住しなかったらできなかったこと。縁あってお知り合いになれたパイナップル農家さんとマンゴー農家さんから贈答品にならないものを買い取って作っていますが、今後はこういった活動をもっと広げていきたいですね」

小高さんが手伝っている本部町のカフェ、MOKULELE。海が目の前という最高のロケーションで、観光客にも人気の店。オーナーは移住者で、お客様のうち8割ほどが観光客です。

最後に今後について尋ねてみると「沖縄にいつまでいるかは決めていませんが、まだまだ住む予定です」との答え。

「沖縄で出会った方々は、みんな優しくて心温かな人ばかり。いろいろ助けてもらってここまで楽しくやってこられました。でも最近強く思うのが、どこの土地に行っても、結局はどんな人たちとどんな風に過ごしていけるかですよね。移住によって得た出会いを大切に、これからも沖縄暮らしを楽しんでいきたいですね」


次回は瀬戸内海に浮かぶしまなみ海道の島、大島に子連れで移住した方の話をお届けします。

 
 


沖縄で出会うさまざまな景色
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撮影/小高朋子
取材・文・構成/井手朋子

 


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