もう二度と、扶養内には戻りたくない

 

もちろん、私にも辛い時期はありました。都内の大学に通っていたものの、22歳のときに母が亡くなって。それで、東京で働く夢を諦めて地元に帰り、縫製工場で働くことになりました。

 

当時は本当に落ち込んだけれど、後から東京に戻ることができたし、あの時やりたかったけどできなかったことは、後から挽回できました。読者モデルとしての活動も、そのうちの一つですね。

仕事の面でも、自分自身が大きく変化したのを実感しています。自分の頭で考えて仕事ができるようになったことで、もっと幅広く大きな仕事を任されるようになりました。

最初はスタイリングだけの業務だったのが、自分の人脈を活かして、キャスティング業務を担当したり、感性が評価され、展示会出展の際のブースのコーディネートを任されたり。いろんな形で自分の強みを発揮できることが、とても嬉しいです。

社内でも、思考回路が変わったとか、成長したと言ってもらえるようになりました。社長からは「すごく頼もしいし、カッコよくなったね」と言われます。

自分で自分の収入を得るようになったことで、自信が持てるようになったんだと思います。今後もさらに仕事を頑張って、収入を増やしていきたいです。

扶養を外れた今となっては、もう絶対に扶養内には戻りたくないですね。お金が原因で、何かやりたいことを我慢しなくてはならない状況は避けたいので。

それに、子どもがこれから大きくなって、なにかやりたいことができたときに、ちゃんと背中を押してあげたいんです。「お母さんは仕事頑張るから、好きなことやっておいで!」と言ってあげたくて。

また私の場合、専業主婦としてずっと子育てをしていると、自分の中でメリハリがなくなって、苦しくなってしまうんですよね。エアソルでの仕事を通して、いろんなクライアントさんに会ったり、様々な商材や情報に触れたりすることで、毎日たくさんの刺激を受けています。

現在36歳ですが、ここから40歳に向けて、400万、500万……と収入をどんどんあげていくのが理想ですが……(笑)。とはいえ、育児や家庭とのバランスもあるので、あまり無理はできないかなと思いつつ、40代になる頃には子育ても少し落ち着いているはず。そこに向けてここから少しずつエンジンをかけていきたいです。

 

「なりたい自分になるのが私のテーマ」という言葉がとても印象的だった佐藤エリさん。夢を叶えたくても、つい人は経験がないことを言い訳にして、逃げてしまいがち。

しかし佐藤さんのように自分がやりたいことをきちんと言葉にして、仕事のチャンスを自ら掴みにいく姿勢がとても大切なのだとあらためて感じます。「今うまくいっていなくても、必ず後から挽回できる」というメッセージにも、強く勇気付けられました。
 

佐藤エリさん出産を機にアパレルの仕事を退職。現在は多数の企業のInstagramアカウントにて、インスタ映えを作るプロップスタイリストとして活動。並行して、彫金アクセサリーブランド「joueri」を運営している。
Instagram: @satoeri626
取材・文/小澤サチエ
構成/山本理沙
写真提供/佐藤エリさん

 


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