指示語は削るか具体的に言い換える
無意識に使ってしまいがちなのが、あってもなくても成立する指示語です。なくても文章が成立するようならとってしまいましょう。
<例文>
話題のダイエット法を検索して熟読してみたが、それを今日からやるかどうかは別問題だ。
↓
<改訂案>
話題のダイエット法を検索して熟読してみたが、今日からやるかどうかは別問題だ。
続いては、前に書いてあるからと省略のつもりで使う指示語。「このような悩みに」「そういう努力が」などひとくくりにまとめてしまうことで、あいまいさが生まれ文章がゆるんでしまうんです。どんな悩みか、どんな努力か、具体的な言葉を置いたほうが文意がクリアになります。
<例文>
そのことが原因で、初日の売り上げはゼロになってしまった。
↓
<改訂案>
システム障害が原因で、初日の売り上げはゼロになってしまった。
「ここから読み取れることは」→「グラフ(A)から読み取れることは」など具体的に言い換えて、誤解の余地をなくします。
もう一段、上級編として、解釈を加えて補足する方法があります。インタビュー原稿などで私はよく使います。話し言葉を文字に起こすと「そういう感じで」「そんなわけで」「そっからですかね」とか、前の発言を受けた指示語がたくさん出てきます。しゃべっている時は気にならないのですが、そのまま文章にすると「そっからってどっから??」ってなっちゃうんです。「そっから」をたとえば「監督と衝突した日から」などと具体的な言葉を補完する場合があります。
<例文>
彼女は3年前に営業部からマーケティング部に異動してきました。現在の部署は市場調査をもとにした資料作成がメインの業務です。それが彼女にとって大きなストレスだったと言います。
ストレス原因の「それ」が異動になったことなのか、今の部署なのか、市場調査なのか、資料作成なのか、あるいはいずれもとも受け取れ、話がぼやけてしまっています。文章を引き締めるために、彼女の心理をもう少し踏み込んで解釈してみます。
彼女は3年前に営業部からマーケティング部に異動してきました。現在の部署は市場調査をもとにした資料作成がメインの業務です。慣れないデスクワークが彼女には大きなストレスだったと言います。
「解釈を加えて補足する」とは、前後の文脈から書き手の解釈で言葉を足すんです。本人はその通りは発言してないけれど、“言うなればこういうこと”を具体化する方法です。しかし、やりすぎると拡大解釈や恣意的な誘導になってしまうので注意が必要です。上の例文でいうと、その前に「彼女は外回りの営業の仕事は自分に合っていて楽しかった」という話があったとしたら、資料作成など事務作業の多いデスクワークに慣れていない、得意じゃないと“解釈”して「慣れないデスクワーク」という表現を足しています。前後のお話によっては「不本意な配置転換が」や「パソコンを使った作業が」など、足す言葉が変わってくるかもしれません。
勝手な解釈や、余計な書き足しになってしまうこともあるので、使いすぎ注意なテクニックではあります。目安としては、3000文字くらいの原稿に3回、4回と指示語が出てきたら多すぎるので言い換えを検討していいと思います。とくにインタビューや対談、座談会など“発言”をベースにまとめる記事の場合、話し言葉をそのまま原稿にすると指示語が多くなりがちなので、指示語を解釈して言い換えるやり方を試してみてください。
“そうそうそう。そういうことが言いたかったんだよ〜”と言われる文章を目指したいですね!
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