愛情が暴走して、嫌がらせになってしまう


お母様側の今の心情を推し量るとするならば……介護していたお祖母様も亡くなり、お父さん・お母さん・おじいさん・おばあさん・そしてあなたと一緒に住んでいた広い家には、今はお母様一人だけ。家族の温もりがなくなった広い家に一人残され、得も言われぬ虚無感に襲われているのかもしれません。

だから、娘が自分から離れていくのが怖くて悲しくて、別れ際の恋人のようにすがったり、まるで嫌がらせのようなことをしてしまう。「可愛さ余って憎さ百倍」という言葉がありますが、お母様が無茶な要求を突きつけてくるのも、昔から仲睦まじい母娘だったからこその、“愛情の暴走”なのでは……とも感じます。

 


本音ははっきり伝えたほうがいい


だからといって、あなたのこの先の人生をお母様が望む通りにお母さんのペースで、一緒に歩むことはありません。あなたの人生は、親の期待に応えるための人生ではないのですから。ただ、急に縁を切ることはさすがに冷酷すぎるとも思いますので、お母様との新しい関わり合い方を模索してみることをオススメします。

まずは、あなたの気持ちをしっかり伝えることです。「お母さんのことは大切だけど、ごめんね。一緒に暮らすつもりはないの」、「まずは私も幸せにならないとお母さんを支えられない。お母様が求めるほど、会ったりお金を渡したりはできないかもしれないけれど、共倒れしないよう、私ができる範囲の関係を築かせてほしい」など、現実的な話を、素直に伝えるといいと思います。年に一度でもいいので無理のないペースで生活費を渡したり、食事に行ったりして、ちょうどいい距離感で関係性を維持していくのが、青パンツさんの罪悪感も薄れ、お母様も見放された気持ちにもならず良い気がします。
 

「広い家に一人」が寂しさの原因なら、家を売ることも考える


お母様の問題は“してあげた”という過去を見ていること。青パンツさんの未来、お母様の未来の幸せを前提に、今もっと建設的な生き方を考え直す時です。未来をどう過ごしていたいか、そのためには今の環境をどう変えるべきか。

例えば、青パンツさんがもう家には戻らないと決心しているのであれば、広い家での一人暮らしが、お母様の寂しさに拍車をかけているかもしれません。ならば、持ち家を売って、そのお金を元手に住まいを変える提案をしてみても良いんじゃないでしょうか。お母様は現在ご健康でいらっしゃるので、同年代のお友だちができる「グループリビング」や、元気なシニアの方向けの「シェアハウス」という暮らし方もあります。

お母様に必要なのは、大事な愛する娘にしがみつき負担をかけることではなく、“今、これから娘も自分も幸せに生きるために、出来ること”を最大限にすること。今ある国の制度も利用しながら、友達を作ったり、生活を立て直すことです。そして、母として青パンツさんの人生を尊重することです。
 

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一人っ子ということもあり、手塩にかけて育ててくれたお母様との距離感や関わり方は難しいと思います。ですが、あなたの人生はあなたのもの。お母様もまだまだ自分の幸せな人生が待っています。それには“今”何をすべきかを考えることが必要です。素敵なパートナーと巡り合って自分らしい人生を歩むためにも、「お母様の期待」は切り分けて考えていいのです。そんなあなたの姿を見て、どうかお母様も自立の道を選ばれますように。そして昔と形は違えど、母娘のちょうどいい関係が取り戻せることを祈っています。

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取材・文/金澤英恵


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