40代以降に必要なのは「オリジナリティー」


お二人が、生き方が素敵だと思う女性はどんな方ですか?

甘糟:私はあんまり有名人に憧れるとかはないので、母を手本にしてます。87歳ですからしんどいことも多いのですが、それでも毎日楽しそう。母を慕ってくれる私の友人も多くて、よく一緒にご飯に行くんですよ。年齢とか性別とかを超えているところがあって、歳を取っても人生は面白そうだと思わせてくれる身近な存在です。

スー:私は、大草直子さんと神崎恵さんが素敵だなと思います。二人ともプロだからというのもあるけれど、自分の良さを引き出して見せる方法をよくわかっているから。

 

一言でいうなら二人とも“根性と気合の人”。だけどその根性と気合が、はつらつとした感じで放出されているので信用できます。それに彼女たちは、試行錯誤の末で今のところにたどり着いた方たちだと思います。そこに励まされますね。

20代や30代前半くらいまでは、皆と同じ格好をして、皆と同じことをしていればとりあえず合格だった時代があったと思うんです。でも40代後半ともなると、それでは絶対に通用せず、自分のオリジナリティーを見つけることが何より大事。大草さんと神崎さんは、二人ともそれを持っているんですよね。


「40代ではオリジナリティーが大事」という言葉がありましたが、自分らしさの見つけ方をお伺いしてもよいでしょうか? 人からどう見られるかを気にして、そこからうまく抜け出せない人もいると思うんです。極端な話だと、若い頃に男性受けを意識したファッションばかりしていた自分を完全に捨て切れなかったりして……。

スー:違和感がないのなら、今はそのままでもいいのではないでしょうか。今すぐ無理してオリジナリティーを探せということではなく、今後、鏡を見たときに、しっくりこないと感じる瞬間がやってきたら、そのときに自分自身と向き合うのでも遅くはないと思います。

自分の良いところはどこなのかを探し、欠点にばかり気をとられるのではなく、長所をのばすようなやり方を、私は見つけようとしています。

甘糟:男性受けのファッションの話が出ましたが、そこを極めちゃえばいいんじゃないですか。自分がそういうファッションが好きなら。男性のための男受けじゃなくて、最終的に自分のための男受けという考えもあるし。

年齢が上がってくると、本来の美醜云々よりキャラクターが確立されているかどうかが魅力になると思います。自分がこだわっているものがあるのなら、ファッションに限らず、それを大切にしていれば引っ張られてキャラクターが自然と生まれてきますよ
 

 

ーーお二人の呆気らかんとした言葉を聞くと、「歳を重ねることは、ごく自然なことなんだ」という“当たり前のこと”が腑に落ち、気持ちが楽になっていきます。

後編では、“美魔女”や“アラフォー以降の恋愛事情”についても語っていただきます!
 

<書籍紹介>
『きれいになりたい気がしてきた』

著 ジェーン・スー
定価 1400円(税別) 光文社

40代も終わりかけになって、ようやく女が楽しくなってきた――人気コラムニストが孤軍奮闘! 自分の人生のためにある“ちょうどいい美”とは?
好きな自分でいるための「きれい」について改めて向き合い、もがいたり気づいたり楽しんだり。これから40代を迎える方にも、いままさに同年代という方にも読んでいただきたいエンパワーメント・エッセイ。自分に手をかけてあげたくなる一冊です。


取材・文/小澤サチエ
撮影/大坪尚人
構成/山本理沙


インタビュー後編
40代以降の女性の人生に、「何をすべき」というマニュアルは存在しない。【甘糟りり子×ジェーン・スー 後編】>>