春は出会いと別れの季節。

「ミモレのコンセプトディレクターを卒業し、新しい学びに取り組みたい」という大草直子さんの発表に、心動かされた人も多いのではないでしょうか。

寂しさと共に、「私もなにか新しいことをはじめたい、学びたい」というワクワクが湧いてくるような……。春は、インプット欲が盛り上がる季節でもありますよね。

しかし私たちには、インプットの前にすべきことがあります。通信講座のパンフレットを取り寄せる前に、オンラインセミナーに申し込む前に、ぜひ読んでみてほしい本をご紹介します。


ミドル世代ほど「アンラーン」が必要な理由

人生100年時代に必要な「アンラーン」について解説する、東京大学経済学部教授の柳川範之さんと元陸上選手の為末大さんの共著。

「アンラーン」とは、これまでの経験で身につけてきた思考のクセを取り除き、新しいインプットをしやすくすることです。社会の変化に対応してキャリアを築いていくためには、アンラーンとインプットを循環させることが必要だと、柳川さんと為末さんは書いています。

 

為末さんの、アスリート時代に経験した「アンラーン」を言語化する能力。高校の勉強を独学したという柳川さんの実践的なノウハウ。二人のコラボレーションで、イメージがわきにくいアンラーンについて理解しやすい一冊になっています。

さて、皆さんが「新しい学び=インプット」をはじめたときにぶつかる壁とはどんなものでしょうか。

「なぜか意欲がわいてこない」「学んだことが頭に入ってこない」「仕事・家事が忙しくて時間がない」……。これらは、これまで積み上げてきた知識や経験から身についた「思考のクセ」が足を引っ張っているせいかもしれません。

思考のクセが足を引っ張る例として、ウィンドサーフィンが本書で紹介されています。ウィンドサーフィンを習いはじめた人の中には、上達の遅い「二大へたくそ」がいるそうです。

まず、「サーフィン経験者」。似たようなスポーツ経験があるという自負があり、身についたやり方を応用してなんとかしようとするのですが、波をとらえるのと風をとらえるのは大きく違うため逆効果。そして、「体力に自信がある人」。彼らは力技でなんとかしようとするクセがあり、風に乗るコツをつかみにくいらしいです。


アンラーンが本当に必要なのは、何かの学びを得ていて、それなりに成功体験を持っている人です。
『Unlearn(アンラーン) 人生100年時代の新しい「学び」』より


職場や家庭でコツコツ経験を積み上げてきたミドル世代ほど、意識的にアンラーンすることが大切になることがわかってきましたね。

 
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