さらに見つかりにくい、甲状腺機能低下症


「甲状腺機能低下症は、元々その体質を持っていると、徐々に症状が出てくるので、ご自身も気が付きにくいです。甲状腺ホルモン検査は、一般の健康診断には入っていないため、患者さんも医者でさえも、その問題に辿り着かないことがあります。また、甲状腺機能異常によっても、うつ、気力低下、不眠といった症状が出るので、メンタル要因とされてしまうケースも。誤診ではありませんが甲状腺が原因で症状が出ている場合は、甲状腺に対する治療が必要です」

自分で更年期症状か、そうではないのかの判断はできるのでしょうか?

「それはとても難しいと思います。あえて、甲状腺機能に問題がある可能性を見分けるポイントをあげるなら、脈拍と体重の変化に注目することです。

・甲状腺ホルモンが亢進→脈拍が早くなり、体重は減少傾向
・甲状腺ホルモン低下→脈拍は遅くなり、体重は増加傾向


脈拍をご自身で測ってみるのは手です。甲状腺機能亢進症の脈拍は90以上、甲状腺機能低下症の脈拍は、60以下が基準になります。不安になると脈拍はドキドキ早くなる傾向があるので、気持ちが落ち着いた時にあくまでも目安としてチェックしてみるといいかもしれません」

「更年期のせいだと思ったら違う病気だった...」不定愁訴にひそむ、さまざまなリスク_img3
 


甲状腺機能低下症を抑えるためにできること


「甲状腺機能低下症はヨードの摂りすぎで起こると言われています。日本人は、海藻類や昆布出汁など、世界で一番ヨードを摂取しています。気になる方は、少しだけ意識して摂取を控えてみるといいでしょう」

更年期世代の女性が、不定愁訴の原因として決めつけてしまいがちな3大要素が「更年期障害」「自律神経障害」「うつ」。大事なのは決めつけないこと。もしも現在、更年期症状で治療を受けていても、症状が長引く、我慢できないとなれば、病院で他の病気が隠れていないか確認することが大切です。

 


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関口 由紀先生 女性医療クリニックLUNAグループ理事長

日本では数少ない女性泌尿器科専門医である。医学博士、横浜市立大学医学部泌尿器病態学講座客員教授。日本泌尿機能学会指導医・専門医。日本東洋医学会指導医・専門医。日本性機能学会専門医。日本排尿機能学会専門医。経営学修士(MBA)。「女性の身体は、全身的に診ていく必要がある」と、婦人科、女性泌尿器科、女性内科、漢方内科、乳腺科、皮膚科、美容皮膚科、などを揃えた女性医療クリニックLUNAグループを主宰。「自分の体は、自分で守る」の理念の元、女性の生き方に関して「YouTubeるなクリニックch」で配信中。


構成/佐野倫子
取材・文/熊本美加
 

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