文字数減らしは「棒倒し」じゃなく「だるま落とし」で


例えば、3000文字と指定があったのに、5000文字くらいになってしまった場合。2000文字をどう削るか? やってしまいがちなのは、冒頭から読み直して、順番にちょっとずつちょっとずつ削っていく方法。これ、ダメなパターンです。

なぜダメかというと、砂場の棒倒し方式であちこちから少しずつ削るやり方だと、1つ1つのエピソードやトピックが痩せていってしまうからです。どれも中途半端にしか説明できてない状態になってしまいます。

おすすめのやり方は、エピソードやトピックスをブロックごと落とす「だるま落とし方式」です。インタビューにしてもレビューにしても、1記事にいくつかのトピックスが盛り込まれていると思います。そのうちの1つ2つのトピックスをブロックごとバッサリ削ってしまうのです。

 

棒倒し方式でどう削っても文字数をオーバーしてしまう場合、往々にして1つの記事に要素を盛り込み過ぎているんです。苦渋の選択にはなりますが、思い切って要素を減らしてみてください。

 

できた余裕でディテールを書き込む


要素を減らした分、面白みが減ってしまうのではないかと心配になるかもしれません。実は逆なんです。余裕が生まれた文字数で残したトピックのディテールを増やすことができます。

どういうことかというと、文字数を節約するために「試行錯誤を繰り返しました」とまとめてしまうよりも、他の要素を削ってでも、どんな「試行」と「錯誤」があったのか、具体的なエピソードを盛り込むほうが、生き生きとした原稿になります。

原稿の面白さは、ディテールや固有名詞に宿ります。

「子供の頃からスポーツ漫画が好き」

と書くよりも

「『あしたのジョー』でボクシングにハマり、『プロゴルファー猿』にプロゴルファーを目指し、『スラムダンク』を読んでバスケ部に入部しました」

と書くほうが、興味が湧きます。「私もスポーツ漫画が好きです」と反応する人はいないけど、「私も『プロゴルファー猿』好きだった」「“旗包み”懐かしいね」とコメントしてくれる人はいるかもしれない。具体的なエピソードや固有名詞を盛り込めば盛り込むほど、文字数を食ってしまいますから、かなり大胆に別の要素を削らないといけないわけです。

いつも指定より原稿が長くなってしまう、あるいは文字数が少なめなとき、大味な原稿になってしまうという方は、「だるま落とし作戦」ぜひ試してみてください。

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