パラダイムシフトの今、「美の価値観」を刷新し続けてきた美容ジャーナリスト齋藤 薫さんが、注目したいある視点をピックアップします。

写真左・先月、大反響を呼んだ愛子さまの成年記者会見。(毎日新聞社/アフロ) 右・『第33回 日本ジュエリーベストドレッサー賞』表彰式の芦田愛菜さん。「宝石のように内側から輝けるような、女性になっていければいいなと思います」とコメント。(Pasya/アフロ)


何だか、すでにもう“人格者”の兆し?


愛子さまの初めての記者会見は、たくさんの驚きをもたらしました。美しく、愛らしいこと、物腰が極めて上品であることを、多くの人が喜びを覚えながら眺めたはずだけれど、何よりも30分以上に及んだ会見中、質問の全てに、ほとんどメモに視線を落とすことなく、朗々と答えていたことに息をのんだはずなのです。

 

答えの一つ一つが型通りではなく、ちゃんと心に残る印象的な内容で、例えそれが練りに練られた原稿をそっくり暗記したものであっても、全て自分の意思なのだろうと思わせる力強さがありました。

そういうことって意外にリアルに伝わってくるもの。一字一句自分の言葉であることが、その行間からもまざまざと伝わってきたし、ご両親への感謝や、やりたいことがボランティアであるとの答えも、この場のために用意されたものでは無いこと、平和への想いも心の底から出てきている願いであること、静かに訴えるものでした。

結果として、1番驚いたのは、20歳になられたばかりなのに、何というか”人格者“の兆しがもう感じられたこと。話を聞いているうちに、心が癒やされるような気がするのは、人格者だけに許された空気の作り方であるはず。愛子さまの会見には、そこまでを感じた人が少なくなかったということなのです。

そういう気配を作るものは、他にもありました。話す時も常に微笑みを讃えていた口もとの美しさ。にもかかわらず、自分を美しく見せようという自意識は微塵も感じさせない自然さ。まさにピュアな自然体であることが、なおさら心の内の穏やかさを伝え、それを癒やしの時間にしていたのです。

つまり私たちは、知性や愛らしさだけでなく、その人柄に魅了されたと言っていいのです。まだ20歳になったばかりの女性に。