これからの時代はリーダーにも多様性が必要だと、著者の小早川さんは書いています。それは、社会の課題も、組織も、急激に多様化が進んでいるから。

性別や年齢、国籍などのアンコンシャス・バイアスがあらわれた広告や役員の発言で、大企業が炎上したというニュースを日々目にします。職場でも、新卒以来ずっと同じ職場に勤め、家庭は妻に任せて仕事にまい進するという「画一化された社員像」とは違う社員が増えているでしょう。

そんな背景もあり、「マイノリティを理解できる人材」が管理職にも必要なのは明らかです。女性は男性社会において長らくマイノリティであったために、LGBTQの人々や、仕事に就いたばかりの若手職員・転職者などの「マイノリティであるがゆえの不安」を理解できます。彼らに心理的安全性を与え、活躍をうながせるのは「自信がない女性リーダー」の強みの一つではないでしょうか。

様々な価値観がからむ課題を解決するには、パワー型・カリスマ型のリーダーよりも、自信はないけれど友好的で思慮深く、少数派の気持ちを理解できるリーダーが向いているのかもしれません。

「自信がない私」のままで管理職になることで、後輩女性に勇気を与える

 

自信がない人が良いリーダーになれる理由はほかにもいくつか挙げられます。しかしそんな理屈は置いておいても、「自信がないのであればなおさらリーダーになることをおすすめします」と筆者は女性たちの背中を押します。それは、「自信がないあなた」が管理職になることで、委縮している後輩の女性たちに「あの人でも管理職をやれるんだ。私も頑張ろう」という勇気を与えることができるからです。


現代では、女性はビジネスの世界では「外様」であり、マイノリティであるがゆえに、いわゆる「できない管理職」が女性にはまだ少ないのです。
―『なぜ自信がない人ほど、いいリーダーになれるのか

 


今職場に増えているのは、長時間労働や強さ一辺倒のリーダーシップといったマッチョな価値観に拒否反応を見せがちなミレニアル世代。謙虚で、自分を必要以上に大きく見せない新しいリーダー像は、彼らの価値観にもマッチするはずです。


労働人口の減少が叫ばれる今、これからは「選び抜かれた一握りのスーパーウーマン」だけでなく、普通の女性も管理職になる時代です。必要以上に、既存のパワフルなリーダー像と自分を比べて委縮する必要はありません。自信がない普通のあなた、のままで管理職になってみませんか。


文 /梅津奏

 


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