近頃、SATCの続編を筆頭に、かつてのヒット作品の主人公たちがアラフィフになって……という続編がブームです。

「And Just Like That…」の撮影風景。写真:REX/アフロ

SATCのキャリーたちが50代になった現在を描いている話題のドラマ、AJLTこと「And Just Like That…」。日本ではU-NEXTのみでの配信だったこともあるのか、周りではあまり観た人がおらず、どこかで「反省会」的な、作品を総括する記事を書きたいなあと思っておりました。

そんな折、GW中の日本では、5月7日に安野モヨコさんの人気漫画「ハッピー・マニア」の続編である「後ハッピーマニア」の最新刊が発売に。こちらは主人公の重田カヨコが45歳になり専業主婦生活を送っていたところ、夫のタカハシに好きな人が出来て離婚を切り出される、という(かつての読者にとっては)衝撃の展開から話がスタート。とまあ、アラフォーでバツイチになった私にはリンクし過ぎてしんどそうな予感がする内容だったので、実は今まで、怖くて読むのを控えていたのです。

「後ハッピーマニア」公式サイトより

どちらの作品も、アラサー時代は恋愛では暴れん坊でめちゃくちゃをしていたヒロインが、結婚し、すっかり落ち着いた生活を送るアラフィフになってから再び恋愛市場に放り出される、というのが共通点。これって実際にこの年代で起こりがちな事件でもあるけれど、「結局、結婚しようがしまいが、この世の中に安寧の地などないのよ」という核心をついている気がします。

年金受給は75歳からに引き上げになると言われ、終身雇用制度も消滅寸前の私たちにとって、50代になっても恋愛もキャリアも引退は許されず、生涯現役でいないといけないというのが今の社会なんですよね。

 

そしてサラ・ジェシカ・パーカーをはじめとするAJLTの女優たちのシワや白髪に、『後ハッピーマニア』のシゲカヨの目の下のクマに感じる、圧倒的親近感……!

AJLTでは尿モレなどの切実なアラフィフ問題が頻繁に描かれたりしていて、コラムニストのジェーン・スーさんがインスタグラムのストーリーで配信した『AJLT反省会』の中でも、「歳を取ることへのデメリットしか描いていなくて、若い世代が50代になることへの夢も希望も持てなくなってしまうのではないか」という旨のコメントをされていました。

が、「後ハッピーマニア」ではそんなアラフィフの身近な「あるある」が、身につまされるけれどクスッと笑えるようなギャグに昇華されていて、安野モヨコさんの観察眼の秀逸さに唸らされます。この辺りは、「後ハッピーマニア」に軍配が上がるところでしょうか。

アラフィフ世代にとって、同じ時代を駆け抜け、一緒に歳を取った彼女たち登場人物はもはや戦友のようなもの。だからこそ、彼女たちの苦境にはめちゃくちゃ感情移入してしまうし、ハッピーエンドを望んでしまう。だけどどちらの作品でも、容姿の老化や体調不良などなど、老いることの悲哀がこれでもかというほど描かれていて、こちらの胸をえぐってくるのです。

 
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