パリ在住のミモレブロガー大熊洋子さんが、久しぶりのディナーに着ていったコーディネートを紹介します。

考えてみたら、コロナ禍以来だったのかもしれない。かつては夜な夜な遊び歩いていた仲間達と、久しぶりにファンタスティックな夜を共にした。

発起人はサンドリーヌ。WhatsAppグループの招待状が届き、タイトルには「キャンドルを囲んでのディナー Dîner à la bougie」とあった。

彼女のバースデーが重なった週末の土曜日だったのだが、敢えて自分の誕生会と言わないところが粋である。そういう事に鋭い私は直ぐに気がつき、小さなプレゼントをいつものクラッチに忍ばせる事を忘れなかった。

パッサージュの奥の奥、隠れ家の様な場所にある小さな小さなレストランは、かつて私たちの溜まり場だった。Coinstot Vino 22-30 Gal Montmartre 75002 Paris

集まった面子は二十人弱、後期ミモレ世代に入った彼女たちは、私のパリのお姉さんとでもいおうか。陶芸家、詩人、コメディエンヌ。見事に様々な分野のアーティストが揃った。私の隣に座った、その日初めて顔を合わせた女性は、あの刑事ドラマの女デカではないか。

インディペンデント映画のプロデューサーの二人。ほぼノーメイクでシンプルな装いなのに、醸し出すオーラが華やかそのもの。

人生の先輩たちの、絶対的な存在感に圧倒された。確かに皆歳をとったけれど、ローマは一日にしてならず、とでもいう様な、内から湧き上がる美しさが倍増している。きっと幸せなんだろう。人生の酸いも甘いも経験してきた彼女たちは今、シンプルでひたすら明るい。

シェフのお手伝い(邪魔)でキッチンに入り浸るHirokoさん。シルクのセットアップは随分前のメドモワゼルパリ。ノスタルジックなパターンが断然この夜の気分。
ブラウンのサッシュベルトを巻いてアクセントを付けて着ることが多いセットアップ。この夜は何も加えず、リラックスな縦のラインを強調。まるでパジャマ?! ああ、確かにこのソワレは、女の子同士で開いたナイトガウンパーティーの様な趣があった。
後ろ姿はこんな感じ。トップスはインせずに。かろうじて寝巻き姿にならないのは、落ち感のあるシルク素材だから。ソワレのコードを保つのには、素材選びが最重要項目であるとも言える。

私なんか箸にも棒にも引っかからないよなぁ。彼女たちを前にしたら、まだまだひよっこだわね。

 

そんな事を考えていると、デザートの到着と共に乾杯の指揮がかかった。

 

お誕生日おめでとう。私達の再会を祝って。健康と友情、愛。What else? 最高の仲間たちに!

隣席をも巻き込み、何度も続いたトーストの極め付けに、誰かが快哉を叫んで場を締めた。

「地上で一番美しい女性たちのディナーに乾杯! Pour le dîner des plus belles femmes sur la terre!!」

 

世界が、現状がどう変わろうと、この世の中には決して揺るがないものがある。この美しい情景を、いつまでも眺めていたい、と思った。

トップス&ボトム#メドモワゼルパリ
サンダル#チエミハラ

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